プロ野球

【ヤクルトの開幕1ヵ月診断】ブルペンの充実は5年前の優勝を思わせる。2番・山田の復調、村上の後を打つ5番がカギに

勝田聡

2020.07.21

4番・村上(右)が昨季を大幅に上回る大活躍。低調な出来が続く山田哲&イノーアが5年ぶりの優勝のカギだ。写真:田中研治(村上&山田)、山崎賢人/THE DIGEST写真部(イノーア)

 6月19日の開幕から早1ヵ月。まだ30試合前後とはいえ、各チームとも長所と短所が徐々に浮き彫りになってきた。「開幕1ヵ月」の戦績を評価しつつ、残りシーズンを展望していこう。

[順位]2位
[勝敗/得失点差]13勝10敗2分/得失点差-2
[評価]まずまずです

●プラス要素
・村上の4番固定
・適材適所のブルペン運用

 昨シーズンはセ・リーグ最下位に沈んだヤクルトが、開幕から好順位をキープしている。1ヵ月を終えた時点で首位・巨人とは3ゲーム差あるものの、2位につけているのは前評判からすれば上出来だろう。

 ここまでを振り返ってみると、打線では4番に村上宗隆を据えたことが功を奏している。村上は新人王を獲得した昨シーズンと比べると本塁打のペースこそやや下降気味だが、打率.380は首位打者争いをするレベルで、それでいてOPS1.055もリーグ4位とパワーも共存している。28打点はセ・リーグトップ。

 すでにヤクルトが、球団史上最年少開幕4番・村上のチームになりつつある、と言っても言い過ぎではないだろう。4番という重圧に負けるどころか、そのさらに上を行く成績を残すのが"令和の怪童"である。
 
 投手陣では中継ぎ陣の起用がうまくいっている。勝ちパターンで想定していたマクガフの調子が上がらないと見るや、昨年のドラフト1位・清水昇をセットアップへと大抜擢。
開幕からの連続無失点は7月16日の阪神戦で「11」でストップしたものの、翌日の広島戦では満塁のピンチを招きながら2者連続三振で無失点。満塁の場面でもツーシーム、フォークと落ちる球をきっちりと投げ込み、前夜の失点をズルズルといかなかったのは、今季の成長を物語っている場面だった。

 また、昨シーズンわずか1試合の登板に終わった左腕の中澤雅人をワンポイント、回跨ぎとさまざまな役割で起用して復活させることに成功。2016年ドラフト1位の寺島成輝も中継ぎで好投を続けている。

 まだまだ鉄壁とまでは言えないものの、梅野雄吾、清水、石山泰稚の勝ちパターンが確立され、その他の投手たちの起用パターンが見えてきたのは好材料と言えそうだ。
 
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待たれる山田哲の復調