プロ野球

【パ・リーグ打撃三冠ランキング】野村、落合らレジェンドが居並ぶ中で現役スラッガーも見事ランクイン

藤原彬

2020.07.24

パ・リーグでは野村がトップ。捕手にしてこのタイトル獲得数は驚異というしかない。写真:産経新聞社

 打者も投手も主要3部門のタイトル獲得は、リーグで突出した存在の証明と言える。ならば、その通算獲得数は歴代最高の選手を論じる上でのバロメーターにもなるだろう。ここでは、パ・リーグで最も多く首位打者、本塁打王、打点王に輝いた選手をベスト5形式で紹介する。※首=首位打者、本=本塁打王、点=打点王

1位 野村克也 17回(首1回、本9回、点7回)
2位 落合博満 11回(首5回、本3回、点3回)
3位 中西太 10回(首2回、本5回、点3回)
3位 中村剛也 10回(本6回、点4回)
5位 イチロー 8回(首7回、点1回)

 バットでリーグの歴史を彩った超のつく個性派たちが名を連ねた。実働26年で打撃三冠を17回も獲得した野村は、テスト入団がプロ野球人生の始まり。投手のクセや配球を徹底的に研究しながら4年目に本塁打王になると、1962年からは6年連続で本塁打と打点のタイトルを独占した。その間に当時のシーズン記録である52本塁打を樹立(63年)して、65年には戦後初の三冠王も達成。扇の要、そしてプレーイング・マネージャーとそれぞれの大役を全うしながら、ともに歴代2位の通算657本と1988打点を積み重ねた。
 
 野村が現役を引退した翌81年に、初の首位打者を獲得したのが落合だ。東洋大を中退して一度は郷里の秋田に帰るも、社会人の東芝府中に入社。そこから25歳でプロ入りした遅咲きの天才は、82、85、86年と3度の三冠王を獲得した。85年には野村と並ぶパ・リーグタイ記録の52本塁打を放っている。87年にトレードでセ・リーグの中日に移った後も、本塁打王と打点王を2回ずつ獲得。生涯で獲得した打撃三冠は15回に上り、これは王貞治、野村に次いでプロ野球歴代3位だ。

"怪童"と呼ばれた西鉄(現・西武)の主砲、中西はプロ2年目の53年から4年連続で本塁打王となり、推定180m弾やファウルチップでボールが焦げたなど、数々の伝説的な逸話を持つ。53年にはトリプルスリーも達成している。タイトルはいずれも25歳までに獲得したもので、以降は左手首の腱鞘炎の影響で成績が急激に下降。この怪我がなければ、ランキングトップに君臨していたかもしれない。

 中西と同じライオンズ強打の三塁手の系譜に連なる"おかわり君"こと中村は、現役打者で唯一のランクイン。力みのないスウィングで軽々とスタンドへ放り込み、統一球を導入した11年に放った48本は、ロッテのチーム本塁打数46本を一人で上回るなど、突出したパワーを見せつけた。昨年も36歳にして4年ぶりの打点王を獲得している。

 日本でレギュラーとして活躍したのはたった7年間だったにもかかわらず、イチローがランクインを果たしたのはさすがの一言。94~2000年の7年連続首位打者獲得は史上最長で、大ブレイクした94年と00年は夢の4割打者誕生を予感させた(打率.385/.387)。95年には打点王も獲得し、本塁打もリーグ2位。それどころか、盗塁王・安打・出塁率もリーグ1位で連盟表彰タイトルを一人で独占するところだった。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。

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