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MLB

FA権取得と同時にシーズン欠場を表明したストローマンは卑怯者なのか?

宇根夏樹

2020.08.20

17年WBCでは優勝も経験しているストローマン。オフのFA市場では人気を集めそうだ。(C)Getty Images

17年WBCでは優勝も経験しているストローマン。オフのFA市場では人気を集めそうだ。(C)Getty Images

 新型コロナウイルスの感染リスクを考慮してシーズン欠場を決めたメジャーリーガーは、これまでに20人前後に上る。家族や自身の健康を考慮してシーズンを欠場するのはどの選手にも認められている権利だ。にもかかわらず、8月10日に残りシーズンの欠場を表明したマーカス・ストローマン(メッツ)には、一部のファンの間から批判の声が出ている。

 その理由は、サービスタイム(メジャー登録日数)にある。年172日で1年とカウントされるサービスタイムが6年に達したらFA権を取得できる。だが、昨季終了時点で、ストローマンのサービスタイムは6年に少し足りず、もし彼が開幕前にシーズン欠場を宣言していれば、FA権を得るのは2021年終了後だった。持病や病歴から感染した際に“ハイリスク”と認定された選手はシーズンを欠場してもサービスタイムが加算されるが、ストローマンはそうではなかった。

 迎えた今シーズン、ストローマンは左ふくらはぎを痛めて開幕から故障者リスト(IL)に入っていたのだが、その間もサービスタイムに数えられる。結果的に、ストローマンはILに入っている間にサービスタイムが6年に達してFA権を取得し、それとほぼ同時にシーズン欠場を発表したことになる。
 
 ストローマンを批判するファンの思いを代弁すると、「本当は開幕前から欠場するつもりでいたのに、サービスタイムが6年に達するまで発表を遅らせたのだろう。姑息な手段を取りやがって」というところだろうか。ストローマンがメッツに長く在籍した選手なら、こういった批判はあってもごく少数だったかもしれない。だが、彼は、昨年夏に若手有望株2人を差し出してまで獲得した選手だった。今季、プレーオフ進出に貢献するはずだった主戦投手が1試合も投げないままFAになるとあっては、怒るファンが出るのも理解はできる。

 もっとも、サービスタイムの操作は、多くの球団が普通に行っていることだ。メジャーでプレーする準備ができている有望株がいても開幕時はあえてマイナーに置き、数週間後に昇格させることでFA取得時期を1年遅らせるのだ。例えば、15年に新人王を受賞したクリス・ブライアント(カブス)は今シーズンがメジャー6年目だが、FAになるのは21年オフ。15年のメジャー初昇格が開幕から約2週間後だったため、この年のサービスタイムは1年に届かなかったからだ。

 ただ、ストローマンのシーズン欠場宣言のタイミングは「たまたま」だった可能性もある。故障からのリハビリは最終段階に入り、すでに実戦形式の投球を開始していた。当人は復帰するつもりでいたが、マーリンズやカーディナルスで集団感染が発生したことが欠場の引き金となったのかもしれない。

 いずれにしても、ストローマンとメッツの間にしこりは残っていないようだ。いい意味でも悪い意味でもMLBはビジネスの論理が最優先。今オフ、FAとなったストローマンとメッツが新たな契約を結ぶことになっても、まったく不思議はない。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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