プロ野球

お股ニキが語る『マネー・ボール』の真実【本人直撃インタビューVol.3】

2019.09.22

“お股本”は果たして『マネー・ボール』を超えたのか。著者お股ニキが自らの想いを赤裸々に語る。(写真はA's編成トップのビリー・ビーン)。(C)Getty Images

 プロ野球選手も注目する"最強の素人"、お股ニキ氏のロングインタビュー第3弾。最終回の今回は、まさに大人気となった著書『セイバーメトリクスの落とし穴~マネー・ボールを超えた野球論』の革新に迫る内容となっている。果たして、一躍注目された著書は、あの『マネー・ボール』を超えたのか。お股ニキ氏が語る、『マネー・ボール』の真実とは一体?


――著書には、過去の選手だけでなく偉人の言葉の引用がよく出てきますよね。しかも、野球界以外からの引用も少なくないのが印象的です。

 そもそも読書は嫌いだったんですけど、執筆中に再認識しましたね(笑)。言葉に関しては昔から知っていたものもありますし、嫌いと言いつつ、もしかしたら人並みには読んでいたのか もしれないです。やっぱり、野球だけの本にはしたくなかったんですよ、ビジネスマンにも読んでほしいと思っていました。
  
 執筆前には、本の書き方の勉強をしたんです。ある本で、「本はすべて引用次第」ってフレーズを見て腑に落ちたというか。さっきの話に通じるんですけど、自分が革命的な理論を出すなんてあり得ない。むしろ、今まで言われてきたことの引き出しをどれだけ多く持つかが大事だと思っていたので、だからあえて章の始めに、引用を持ってきたりしましたね。
――「パーフェクトではなくグッドを目指せ」というグレッグ・マダックスの言葉が印象的でした。

 完璧を目指しすぎると、かえって悪くなるって、普通に生きていたら分かる話じゃないですか。出版でもそうだと思うんですけど、「絶対にベストセラーにするぞ」って思ってやるよりは、最低限がどこなのかを見極めて、あとはどれだけ上積みできるか。ピッチャーでも「最低限試合を作る」って言いますよね。

 まぁただ、これはレギュラーシーズンでは通じる話で、プレーオフは少し違うかなと。マダックスもプレーオフは微妙でした。ランディ・ジョンソンとかみたいに突き抜けてないと、最低限ではプレーオフでは負けてしまう。ブレーブス三人衆では、ジョン・スモルツのほうがプレーオフに強かった。速球派だったので、何も起こさせないくらいのほうがいいんです。でも、要はそれも使い分け、バランスの話に行き着くわけです。
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“お股本”を何周もすれば理解が深まるはず