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MLBプレーオフのワイルドカード・シリーズが明日開幕!ア・リーグ4カードの見どころは?

宇根夏樹

2020.09.29

地区3位からの下剋上を狙うブルージェイズは、レイズ戦に相性のいいシューメイカー(左)を初戦の先発に抜擢。対するレイズはエースのスネル(右)で立ち向かう。(C)Getty Images

 いよいよ明日(現地時間29日)、MLBの2020年ポストシーズンが開幕する。まずは、両リーグでそれぞれ8チームが3試合制(2勝先取)でしのぎを削るワイルドカード・シリーズからだ。ここでは、ア・リーグの4つのカードの見どころを紹介する。

▼レイズ(東地区1位)vsブルージェイズ(東地区3位)
 両チームとも東地区に属し、対戦成績はほぼ互角。勝敗ではレイズが6勝4敗と勝ち越しているが、ブルージェイズの48得点はレイズよりも4点多い。とはいえ、短期決戦で重要な投手力では、レイズがチーム防御率3.56(リーグ2位)、ブルージェイズが4.63(リーグ10位)と大きな差があり、全体的にはやはりレイズが有利だ。

 しかしブルージェイズは下剋上の秘策として、第1戦の先発にはエースのリュ・ヒョンジンではなく、マット・シューメイカーを立ててきた。彼は対レイズの通算成績の4勝0敗ときわめて相性が良い。さらに第2戦にはリュを先発させ、一気に連勝でシリーズ突破を狙う。だが、レイズも第1戦先発が18年サイ・ヤング賞投手のブレイク・スネル、第2戦は今季50イニング以上でトップの奪三振率14.28を記録したタイラー・グラスノーと壁は厚い。さらに第3戦には、過去のプレーオフで「勝てば勝ち抜き、負ければ敗退」の場面で3度先発して3勝と強いチャーリー・モートンが控えている。ブルージェイズの秘策が実るのか、それともレイズが横綱相撲で勝ち抜くのかに注目だ。
 
▼インディアンス(中地区2位)vsヤンキース(東地区2位)
 投手三冠のシェーン・ビーバーを筆頭に、カルロス・カラスコ、ザック・プリーサックと続くインディアンスの先発陣はリーグ随一。防御率は最も高いカラスコでも、リーグ7位の2.91だ。救援防御率もリーグ3位の3.53と優秀で、最後はセーブ王のブラッド・ハンドが締める。

 一方、ヤンキースの強みは打線だ。本塁打王のルーク・ボイト(22本)と首位打者のDJ・ラメイヒュー(.364)を擁し、故障に泣かされたアーロン・ジャッジとジャンカルロ・スタントンのパワーデュオも戻ってきた。ただし、ヤンキースはゲリット・コールと田中将大で2連勝できなければ苦しくなるだろう。ホーム開催を逃したのも不安材料で、今シーズンはアウェーで11勝18敗、勝率.379だ。また、勢いにも差があり、インディアンスがシーズン最後の8試合で7勝を挙げたのに対し、ヤンキースは2勝しかしていない。全体的にはインディアンスの方が優勢といえるだろう。