専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

過去に“ゴールドグラバー兄弟”は3組いるが、グリエル兄弟は史上初の“同時受賞”を達成できるのか?

宇根夏樹

2020.10.31

兄のユリ(左)は今季一塁でわずか1失策と堅守を発揮。弟ルルデス(右)もレフトで強肩を見せた。(C)Getty Images

兄のユリ(左)は今季一塁でわずか1失策と堅守を発揮。弟ルルデス(右)もレフトで強肩を見せた。(C)Getty Images

 今シーズンのゴールドグラブ賞の最終候補には、元DeNAのグリエル兄弟が揃ってノミネートされている。兄のユリ(アストロズ)はア・リーグの一塁手部門、弟のルルデス(ブルージェイズ)は同じア・リーグの左翼手部門だ。人選に対する批判(とDeNAファンのグリエル兄弟に対する複雑な心情)はさておき、彼らが揃ってゴールドグラブを手にすれば、史上初の兄弟同時受賞となる。受賞者の発表は、11月3日(日本時間4日)だ。

 もっとも、「同時」という条件を除けば、“兄弟ゴールドグラバー”はこれまでに3組存在する。ボイヤー兄弟、アロマー兄弟、そしてモリーナ兄弟だ。

 1組目のボイヤー兄弟は、どちらも三塁手だった。兄のケンは1950~60年代にかけてカーディナルスで三塁を守り、ゴールドグラブを5度受賞(64年はMVPにも選出されている)。弟のクリートはヤンキースとブレーブスで正三塁手を務め、ブレーブス時代の69年にゴールドグラブに選ばれた。なお、クリートは72~75年に大洋(現・横浜DeNA)でもプレーしており、73~74年にはゴールデン・グラブ賞も手にしている(ちなみに73年は長嶋茂雄との同時受賞だった)。

 2組目のアロマー兄弟は、兄のサンディがゴールドグラブ1回(90年)の捕手で、弟のロベルトは、二塁手では史上最多の10度受賞(91~96、98~2001年)した殿堂入りの名選手。彼らの父サンディ・アロマー・シニアも通算1168安打を放った元メジャーリーガーで、兄の方は父と同じ名前を持ち、弟の方はポジションが同じだった。なお、2人はどちらも88年にメジャーデビューし、88~89年のパドレス、99~00年のインディアンス、03年と04年のホワイトソックスで、それぞれチームメイトとしてプレーしている。
 
 3組目のモリーナ兄弟はいずれも捕手だ。ゴールドグラブは、長兄のベンジーが2度受賞し(02~03年)、末弟のヤディアー(カーディナルス)に至っては9度(08~15,17年)。ただ一人、次兄のホゼだけは、ディフェンスに関しては優れていたが、あまりに貧弱な打撃のせいで正捕手にはなれなかったため、ゴールドグラブには縁がなかった。なお、セイバーメトリクスの専門家によって選ばれるフィールディング・バイブル賞の選考投票では、08年にヤディアーが受賞、ホゼが2位タイ、ベンジーも8位と3人全員に票が入っている。

 ちなみに、“ゴールドグラバー親子”も2組いる。ボビー&バリー・ボンズとボブ&ブレット・ブーンだ。ともに外野手のボンズ親子は、父が3度(71、73~74年)、息子は8度(90~94、96~98年)受賞。ブーン親子は、ボブが捕手として受賞7度(78~79、82、86~89年)、ブレットが二塁手として4度(98、02~04年)受賞した。ブレットの弟は現ヤンキース監督のアーロンで、彼もレッズなどで三塁のレギュラーを務めたが、残念ながら受賞したことはない。

 なお、今シーズンの最終候補のうち、ア・リーグ遊撃手部門でノミネートされたJP・クロフォード(マリナーズ)のおじのカールは元外野手で、2010年にゴールドグラブを受賞。今回、JPが受賞すれば“ゴールドグラバーいとこ”になる。これだけ受賞者に親族同士が多いのも、メジャーリーグならではだろう。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

【PHOTO】スター選手が勢ぞろい! 2020MLBプレーヤーランキングTOP30
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号