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プロ野球

日本シリーズは初戦が肝心。4年連続日本シリーズ開幕投手・千賀が見せた“エースの矜持”

喜瀬雅則

2020.11.22

初回から150キロ超の剛速球を連発した千賀の投球は、まさに「これぞエース」を体現していた。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

初回から150キロ超の剛速球を連発した千賀の投球は、まさに「これぞエース」を体現していた。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 日本シリーズは最長でも7試合、4戦先勝という短期決戦だ。勢いに乗った選手が好調を維持したまま“シリーズ男”となることもあれば、最初につまずいて復調のきっかけすらつかめないまま、“逆シリーズ男”という不名誉な称号を与えられてしまう選手もいる。

 パ・リーグでは史上初となる4年連続での“日本シリーズ開幕投手”を担ったソフトバンクの千賀滉大は、頂上決戦におけるそうした“機微”を皮膚で感じている。「毎年、慣れるものではないですけど、初めてではないというところはあります」。ここで巨人打線を勢いづかせたら、自分の後に続く投手たちを、負の連鎖に引きずり込んでしまうかもしれない。だからこそ、最初が肝心なのだ。
 
 1回の12球のうち、9球が150キロを超える剛速球。千賀は立ち上がりから、まさしくエンジン全開で試合に入っていった。1回2死一塁、巨人の4番・岡本和真への初球は154キロの内角直球。岡本にとっても、今シリーズで初めてのスウィング。その瞬間のことだった。

 バキッ。

 コロナ禍で鳴り物も声援も自粛した京セラドーム内に、鈍い音が響き渡った。バットは真っ二つ。力のない打球は、バックネット手前でキャッチャー甲斐拓也のミットに収まるファールフライとなった。セ・リーグで本塁打と打点の二冠を手にした大砲を、力勝負で完全に圧倒したのだ。

 エースが主砲をねじ伏せたこの結果は、両軍の士気にも間違いなく影響した。これで勢いに乗ったソフトバンクは、直後の2回、クライマックスシリーズで2試合ともノーヒットに終わった栗原陵矢が2ランを放って先制。これで試合の主導権はソフトバンクが握った。
 
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