プロ野球

【プロ野球トレード収支の大検証:第5回】主砲デービスの逮捕で急遽獲得した“第三の外国人”が…近鉄に大幅プラスをもたらしたブライアント

出野哲也

2021.01.04

そのパワーで数々の伝説を残したブライアント。そのすごさの一つが本塁打の固め打ちで、1試合3本塁打通算6回、シーズン4回はともに日本記録である。写真:産経新聞社

1988年
ラルフ・ブライアント(中日)⇒近鉄(金銭)
近鉄 +125.6/中日 -125.6


ラルフ・ブライアント 近鉄 打率.261、259本塁打、641打点    125.6

 2・3位に続いて、またしても星野仙一が関わったトレードである。1987年に中日の新監督に就任した星野は、ロサンゼルス・ドジャースと個人的な親交があったことから同球団の施設があるベロビーチでキャンプを張ったり、中日の選手を野球留学させたりした。のちにエースになる山本昌広もその一人だ。

 88年には、ドジャースから新外国人選手としてブライアントも入団させた。前年はメジャーで46試合に出場していたブライアントは、3Aでの通算302試合で50本塁打を放っていた長距離砲。まだ26歳の若さも魅力だった。
 
 しかし、当時は外国人選手の一軍登録は2人までしか認められていなかった。中日には抑えの切り札である台湾出身の郭源治と、主力打者のゲーリー・レーシッチがいたため、ブライアントは第三の外国人として二軍にとどめ置かれた。

 ところが6月、近鉄の主砲リチャード・デービスが大麻不法所持で逮捕され、即解雇となる事件が起きた。リーグ4位の打率.303を記録していた強打者の代役として、近鉄は二軍で26試合に出て打率.275、6本塁打、19打点だったブライアントの金銭トレードを申し入れた。
 
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第三の外国人が球団史に残る強打者に