プロ野球

【パ・リーグ CS1st展望】初戦は千賀VS則本。”新旧奪三振王”対決。序盤でケリをつけたい両者は「2番・グラシアル」「2番・浅村」の起用を。

氏原英明

2019.10.05

ソフトバンクはエース・千賀滉大が先発する。楽天戦の分は良くないが、エースとして初戦を任され期するものはあるはずだ。 写真;徳原隆元(THE DIGEST編集部)

 パ・リーグのクライマックスシリーズが、セ・リーグに先駆けて本日13時より幕を開ける。

 2年連続でリーグ優勝を逃したソフトバンクと、2年ぶりのCS進出となった楽天との対決だ。
 
 ソフトバンクは昨季に続いてCSからの下剋上を目指すが、このチームの強みはこういった経験の多さだ。どの順位から日本一を目指すことになっても、最後の勝利に向かって一枚岩になって戦うことができる。CSは6年続けての進出となり、酸いも甘いも知っているのだ。

 対する楽天はシーズン終盤で3位に滑り込んだが、その戦いの中でソフトバンクに勝って弾みをつけたというのもある。その流れを大事にしながら、どう戦えるかがこの対決でのポイントだ。
 初戦の先発はソフトバンクが千賀滉大、楽天は則本昂大と発表されていている。

 両エースが先発するが、お互いの事情は少し異なる。

 ソフトバンクは今季も千賀がエースとして君臨。楽天との対戦成績は5試合に投げて1勝3敗、防御率は2.91と分が悪いが、初戦に大黒柱を立てるのは当然と言えるだろう。ヤフオクドームの楽天戦では1敗のみで、それほど問題ではない。

 対する則本は、今シーズン中に右ヒジのクリーニング手術を受けた。対戦成績からしても、美馬が初戦の先発に立つのが常套手段ではあるが、ここは大きな賭けに出たと言えるだろう。則本の意地、最後に仕事をしてくれるというメッセージだ。美馬を残した状態で先勝すれば、ソフトバンクに大きなプレッシャーをかけることができる。

 2戦目の先発は、ソフトバンクはバンデンハーグなど流動的になりそうだ。ここがソフトバンクの強みで、レギュラーシーズンは活躍できなかった選手たちが居場所を求めてやってくる。昨季のポストシーズンで大活躍を見せたバンデンハーグや石川柊太など、誰が来ても怖い。工藤監督が調子をどう見極めて起用するか。

 楽天の2戦目は美馬で間違いない。美馬はソフトバンク戦今季3勝と好相性。うち2勝がヤフオクドームで挙げたものだから、ビジターの厳しい環境でも問題なくやってくれるだろう。5、6回を最小失点で投げ切って、後ろにつなげる。

 美馬の持ち味であるシュート系のボールは1打席にとどまることなく、強い印象を残す。強烈に意識をすれば外の球への注意が薄れることになるし、救援陣は美馬の残像を利用しながら投げることができるから、打線からしてみれば厄介なのだ。