プロ野球

【セ・リーグCSファイナル展望】阪神の勝機は”ブルペン勝負”のみ。序盤の攻防が勝敗を分ける

氏原英明

2019.10.09

優秀な救援陣が揃う阪神の狙いは、ロースコアゲームだ。写真:朝日新聞社

 クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージを突破した阪神の初戦先発の発表を見て、なるほどなと思った。

 プロ野球・セリーグのCSファイナルステージが9日から始まる。CS1ファーストステージで3戦を戦った阪神からはシーズン中から継続している戦い方が見られたが、おそらく、ファイナルステージでも、そこがカギになるだろう。

 阪神は初戦の先発に4年目の望月惇志を立てた。
 昨季はリリーバーとして37試合44イニングを投げた若手のホープである。今季は5試合に先発し、プロ初勝利を挙げる1勝をマークしている。
 
 望月起用の狙いで感じるのは"ブルペン勝負"で勝機を見出すということだ。
 
 CSファーストステージでも、阪神が狙っていたのは、極力、失点を少なくして、少ない得点差で勝負に持ち込むというものだ。

 横浜スタジアムでは打の方に有利なデータが残っていたから、1、2戦は打撃戦を演じたが、本来の強さは第3戦で見せたようなリーグトップの防御率を誇る投手陣の安定度だ。中でもブルペンは、左腕4枚をそろえ、右はドリス、藤川球児といった経験者を備えさせるハイクオリティーなものだ。

 理想は最低でも序盤3回を0−0という試合だろう。

 望月は今季5試合に先発しているが、リリーバーとしての経験が豊富だ。1番打者に好調の亀井義行を起用して、2番・坂本勇人、3番・丸佳浩という強打者を並べて序盤から攻勢をかけてくる巨人打線に対して、望月の役目は立ち上がりから全力で挑むショートスターターのようなものだろう。当然、体力が持ちそうだと引っ張ることもあるだろうが、彼の1番の役割は初回無失点のはずだ。

 ガルシアや能見篤史をうまく挟みながらリリーバーが試合を締めていくという算段で、おそらく、投手陣に3点以上の失点は許されない。それほどの覚悟が必要な対決だ。

 3点以内に抑えられれば、阪神のゲーム、それ以外なら巨人のもの。そんな展開が濃厚だと言えるだろう。
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1番・亀井から始まる上位打線がカギを握る