昨シーズンのメジャーリーグは、コロナ禍の影響で無観客かつ最短60試合シーズンとあって盛り上がりに欠けたが、今季は大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)をはじめ若手スターが躍進して視聴率も大幅アップ。4月とは思えぬ活気であふれている。
しかし一方で、開幕から「審判」が目立つケースも少なくない。ストライク判定のみならず、"ホームを踏んでいない決勝ホームイン"や"ヒジ出しサヨナラ死球"というのも大きな話題を集めた。そして現地時間4月28日、この日も大きな波紋を呼ぶ判定が下された。
ミルウォーキー・ブルワーズ対マイアミ・マーリンズの一戦。先行のマーリンズは2回に1死一、三塁と先制のチャンスを迎えた。7番のイーサン・ディアズは一塁方向に転がるボテボテの投ゴロに打ち取られたものの、三塁ランナーは悠々ホームイン。ブルワーズ先発のザック・ゴドリーも打球の弱さから早々に本塁でのアウトはあきらめ、一塁でディアズを簡単にアウトにした……はずだった。
しかし、一塁審判のマーティ・フォスターは「走塁妨害」をコール。ディアズは一塁セーフとの判定が下されたのだ。当然、ブルワーズベンチは異議申し立てを行ない、審判団が集まって協議。しかし結果は変わらず、走塁妨害によりディアズは一塁に残った。これに動揺したのか、ゴドリーは2度の暴投を犯して二塁走者をホームに返してこの回に2失点。試合は最終的にマーリンズが6対2で勝利した。
やはり試合のハイライトは件の走塁妨害のシーンだ。映像を見ると、打者走者のディアズは一塁ラインよりも内側を走っていて、確かにゴドリーと接触しそうではあった。しかし、両者はまったく触れてはいない上に、どう見てもディアズが送球より先に一塁へ到達するのは不可能な状況だった。
試合後、この判定について訊かれたブルワーズ監督のクレイグ・カウンセルは「クソみたいな判定だ」と激昂。「マーティがあの場面で何を考え、何を見たのか私にはさっぱり分からない。完全な誤審」と、まったく怒りが収まらない様子だった。当事者となったゴドリーも「(ディアズがセーフの判定で)何が起きたのかさっぱり分からなかった」と困惑しきりだった。
果たして一塁審判のフォスターの見解は、「打者走者が一塁へ進むのを妨げられたと100%確信している」という。いわく、このプレーで優先されるべきは打者走者であり、ゴドリーが進路にきたためスピードを緩めざるを得なかった。これは走塁妨害が適応されるとのこと。そして当該のプレーにおいては、スリーフットラインは関係がないということで、審判団の見解も一致したと語っている。
このプレーはビデオ検証の対象外だったことも、結果的に物議をかもすきっかけになってしまったのは間違いない。実際、スポーツ大手メディア『CBSスポーツ』のダニー・ビレッティ記者が「年間ワースト誤審候補」とあきれるほどであり、有識者でもそうなのだから、ましてやファンからすれば一層、"不可解"に感じることだろう。
そしてここ数年、ビデオ判定やSNSの発達に伴って一瞬で「シロかクロ」が分かる世の中になったことで、審判の立場が厳しくなっている。今季立て続けに起きている誤審騒動によって、逆境に立たされているのも、信頼関係の欠如につながっているのかもしれない。
構成●THE DIGEST編集部
しかし一方で、開幕から「審判」が目立つケースも少なくない。ストライク判定のみならず、"ホームを踏んでいない決勝ホームイン"や"ヒジ出しサヨナラ死球"というのも大きな話題を集めた。そして現地時間4月28日、この日も大きな波紋を呼ぶ判定が下された。
ミルウォーキー・ブルワーズ対マイアミ・マーリンズの一戦。先行のマーリンズは2回に1死一、三塁と先制のチャンスを迎えた。7番のイーサン・ディアズは一塁方向に転がるボテボテの投ゴロに打ち取られたものの、三塁ランナーは悠々ホームイン。ブルワーズ先発のザック・ゴドリーも打球の弱さから早々に本塁でのアウトはあきらめ、一塁でディアズを簡単にアウトにした……はずだった。
しかし、一塁審判のマーティ・フォスターは「走塁妨害」をコール。ディアズは一塁セーフとの判定が下されたのだ。当然、ブルワーズベンチは異議申し立てを行ない、審判団が集まって協議。しかし結果は変わらず、走塁妨害によりディアズは一塁に残った。これに動揺したのか、ゴドリーは2度の暴投を犯して二塁走者をホームに返してこの回に2失点。試合は最終的にマーリンズが6対2で勝利した。
やはり試合のハイライトは件の走塁妨害のシーンだ。映像を見ると、打者走者のディアズは一塁ラインよりも内側を走っていて、確かにゴドリーと接触しそうではあった。しかし、両者はまったく触れてはいない上に、どう見てもディアズが送球より先に一塁へ到達するのは不可能な状況だった。
試合後、この判定について訊かれたブルワーズ監督のクレイグ・カウンセルは「クソみたいな判定だ」と激昂。「マーティがあの場面で何を考え、何を見たのか私にはさっぱり分からない。完全な誤審」と、まったく怒りが収まらない様子だった。当事者となったゴドリーも「(ディアズがセーフの判定で)何が起きたのかさっぱり分からなかった」と困惑しきりだった。
果たして一塁審判のフォスターの見解は、「打者走者が一塁へ進むのを妨げられたと100%確信している」という。いわく、このプレーで優先されるべきは打者走者であり、ゴドリーが進路にきたためスピードを緩めざるを得なかった。これは走塁妨害が適応されるとのこと。そして当該のプレーにおいては、スリーフットラインは関係がないということで、審判団の見解も一致したと語っている。
このプレーはビデオ検証の対象外だったことも、結果的に物議をかもすきっかけになってしまったのは間違いない。実際、スポーツ大手メディア『CBSスポーツ』のダニー・ビレッティ記者が「年間ワースト誤審候補」とあきれるほどであり、有識者でもそうなのだから、ましてやファンからすれば一層、"不可解"に感じることだろう。
そしてここ数年、ビデオ判定やSNSの発達に伴って一瞬で「シロかクロ」が分かる世の中になったことで、審判の立場が厳しくなっている。今季立て続けに起きている誤審騒動によって、逆境に立たされているのも、信頼関係の欠如につながっているのかもしれない。
構成●THE DIGEST編集部