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プロ野球

【オリ熱コラム】ギアを上げてきたオリックスの“もう一人のエース”山岡泰輔が見据える目標とは<SLUGGER>

どら増田

2021.04.30

19年に最高勝率のタイトルを獲得した山岡。プレミア12日本代表にも選ばれた実力者だ。写真:滝川敏之

19年に最高勝率のタイトルを獲得した山岡。プレミア12日本代表にも選ばれた実力者だ。写真:滝川敏之

「1年を怪我なく、チームが優勝するために勝っていきたい」

 越年となった昨オフの契約更改で、山岡泰輔は「怪我をしない」ことを2021年の目標に掲げた。「目標はいくつか作るようにしてるんですよ。じゃないと達成できなかった時、喪失感が凄くなっちゃうんで、『小目標』、『中目標』、『大目標』って。小目標は1年間怪我をしないこと。中目標はいろいろとあって毎年変わるんですけど、大目標は優勝ですね」。山岡の人柄が分かるような堅実な目標設定である。

 昨年は開幕2戦目の登板で故障離脱してしまったことで、「小目標」もクリア出来なかった。エースとしてチームを引っ張っていく気持ちが強い山岡にとって、相当悔しいことだったのは言うまでもない。今シーズンは弟のような関係でもある山本由伸に開幕投手の座を譲ったが、自分自身のピッチングを続けることに集中した。だが、最初の3試合は制球に苦しみ、球数が多くなってしまっていた。

 4月3日の楽天戦では4回を98球、3失点で敗戦投手に。「立ち上がりからボールを操れていませんでした。何とか早く修正しようと思っていたんですが、できませんでした」と話していたように、山岡らしくないピッチングだった。
 だが、さすがはエースである。続く9日の日本ハム戦では、かつてのエース金子弌大と投げ合って6回を95球、無失点。勝敗こそつかなかったが、中嶋聡監督は「今日みたいなピッチングをしてたら絶対に勝てるようになる」と称賛した。13日のロッテ戦でも、7回を118球、9奪三振、無失点と好投。チームが追いつかれたため、この日も勝ちはつかなかったが、「いろいろな球種を投げ分けられていましたし、ピンチの場面でもしっかりと投げ切れたところが良かったたと思います」と本人も自信を深める登板だった。

 そして迎えた23日の日本ハム戦で、8回を124球、10奪三振、無失点の内容で今季初勝利を収めた。奪三振数からも分かるように、本来のスライダーに加えてカーブが効果的に決まるようになったことが復調の大きな理由だろう。

「とにかく先制点を与えない。最小失点で抑える」

 オリックスの強みはWエース制を敷いていること。山岡と由伸が怪我をせずに1年間ローテーションを守っていけば、他球団にとって脅威になるのは間違いない。ただ、山岡も由伸も好投しながら援護に恵まれない試合が多い。エースの奮闘に打線が応えることで、チームも上昇気流に乗るはずだ。

取材・文●どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。

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