プロ野球

2連敗からの逆襲はあるのか?本拠地に戻る巨人が用意すべき3つの「打開策」

氏原英明

2019.10.22

巨人は阿部を代打の切り札として使うのも手だろう。写真:朝日新聞社

 日本シリーズは舞台を東京に移して第3戦を行う。

 2連敗で本拠地に戻るセ・リーグ覇者の巨人は、果たして、逆襲の機会はあるのだろうか。この2戦はいいところが少しだけしか出せなかったが、その中で打開策をいくつか見出してみたい。

 まず、投手陣だ。
 初戦の先発・山口俊、2戦目の先発・メルセデスともにゲームメイクをしっかりできたのは収穫だ。ただ、次戦へつなげるピッチングを見せたという意味では、メルセデスの方が中身のあるものだったと言えるだろう。

 メルセデスは6回を投げて1安打無失点。テンポのいい投球は強打のソフトバンク打線でも的が絞りづらいことを証明した。

 実は、ソフトバンクは左腕投手をさほど得意にしてはいない。苦手意識があるわけではないのだが、その背景には、パ・リーグに左腕の先発投手が極端に少ないことが挙げられる。
 
 例えば、セ・リーグだと、防御率のタイトルを獲得した中日の大野雄大をはじめとして、2位は広島のジョンソン、3位タイはDeNAの今永昇太と防御率のトップ3にサウスポーが3人も入っている。他にも、床田寛樹(広島)やロメロ(中日)、石川雅規、高橋奎二(いずれもヤクルト)など規定投球回には達していないものの、先発投手はたくさんいる。

 一方、パ・リーグはそもそも規定投球回数に達した左腕投手がおらず、それ以外で探しても加藤貴之(日本ハム)、辛島航(楽天)くらいしかいないのだ。

 対戦実績がないから打てないということにはならないが、明確なデータがない分、やや苦戦する傾向にある。事実、昨季の日本シリーズでは、広島のジョンソン、一昨年はDeNAの濱口遥大、今永昇太らに手を焼いている。メルセデスに苦戦したのも、ただの偶然ではないという見方もできるわけだ。

 そして、巨人は第3戦の先発にルーキー左腕の高橋優貴を立てると発表している。ルーキーが力を発揮しやすい本拠地の舞台を用意しているというのも、原辰徳監督の心遣いだろう。高橋の投球は一つのキーポイントになる。

 ただ、この2戦がそうであるように、中継ぎ陣の整備も急務だ。田口麗斗、大竹寛がシーズン中とは異なるピッチングだった。大竹はそれほど心配するほどではないだろうが、まだ起用していない、中川皓太、デラロサが登板する展開に持っていきたいところだ。

 一方の打線は、1番の亀井善行、3番の丸佳浩がここまで無安打。ただ、丸はさほど心配がなさそう。課題は6番以降をどう組むかだろう。これまで、少ない打席に味のあるバッティングを見せているゲレーロ、タイミングが取れている大城卓三はスタメンに名を連ねたい。阿部慎之助はベンチスタートで有事に備えるのが理想だろう。