侍ジャパンの稲葉篤紀監督が、5月28日に京セラドーム大阪で行なわれたオリックス対ヤクルト戦を視察。東京五輪での投手起用も含めて、人選の最終調整に入っていることを明かした。
本番まで時間が限られているなか、1984年のロサンゼルス五輪以来の金メダル奪取に向け、稲葉監督は約40日ぶりに白星を挙げた山本由伸と、1回に先制2ランを放った吉田正尚を高く評価した。
3回までに1安打ピッチングを披露した山本は、4回2死から四球と安打でピンチを招き、青木宣親、サンタナに連続タイムリーを浴びて2失点。結局、7回(107球)で被安打5、3四球、2失点でマウンドを降りた。それでも、150キロのストレートと140キロ台のフォークに120キロ台の縦のカーブなどを織り交ぜて毎回の9奪三振、4月21日以来の勝利投手となった。
主砲である吉田の活躍も光った。初回、1死1塁から、相手先発バンデンハークの投じた初球、内角への149キロのストレートを右翼に運ぶ、豪快な12号2ランを放ち、打線に火をつけたのである。
稲葉監督はチームを勢いづけたオリックスの主軸ふたりを絶賛。まず、「今日は彼を見に来た」という山本については、「シーズン中、調子が良い時も状態が悪い時もある」とした上で、こう称えた。
「今日はストレートに力強さがあり、変化球もキレていた。一つひとつボールが素晴らしい。あらためて素晴らしい投手だなと思った」
【動画】稲葉監督が絶賛! バンデンハークから吉田正尚が放った圧巻アーチはこちら
さらに吉田については、「初球のストレートを自分のタイミングでとらえていた。三振の少ない打者は、長打が増えないものだが、狙った球をとらえる能力が高い。選球眼も良く、四球も取れる」と、オランダ代表エースでもあったバンデンハークから打った一発を称賛した。
東京五輪を間近に控え、気になるのが投手の役割分担だ。山本は2019年のWBSCプレミア12でチームの事情によりクローザーを任されてもいた。
短期決戦を勝ち抜くうえでカギともなる投手陣について、稲葉監督は「勝ち負けで試合数が変わり、いろんなことを考えることが必要」と持論を口にし、「(役割分担については)いろんな可能性を含めて考えたい」と語っている。
「本人と話し合うのはもちろん、(所属)チームもそうだし、いろんな可能性を考えたい。五輪メンバーは24人と少ないので、ジャパンでは自分のチームでやっていないところでやってもらわなければいけない。一応、先発何人、中継ぎ何人、抑え何人というなかで、ロングも考えながら決めていこうと思う。もうすぐ決めなければいけない期日が迫っており、構想をしっかりと持ちたい」
東京五輪は開催中止も叫ばれているが、選手たちはやる気を漲らせる。山本が「開催に反対の方もたくさんいるが、出られるなら全力でプレーするだけ。1日、1日をしっかりと頑張りたい」と語れば、吉田は「まったく想像できていないが、開催されるならその舞台に立てるようにやりたい」と強調した。
28日に決定した1次リーグの組分け方法について、「たぶん、韓国とは当たらないのだろうな、とそこだけですね。相手が決まらないと予想ができない。これからデータを集めたい」と語った稲葉監督。48歳の指揮官の構想は、ここから練り上げられていきそうだ。
取材・文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。
本番まで時間が限られているなか、1984年のロサンゼルス五輪以来の金メダル奪取に向け、稲葉監督は約40日ぶりに白星を挙げた山本由伸と、1回に先制2ランを放った吉田正尚を高く評価した。
3回までに1安打ピッチングを披露した山本は、4回2死から四球と安打でピンチを招き、青木宣親、サンタナに連続タイムリーを浴びて2失点。結局、7回(107球)で被安打5、3四球、2失点でマウンドを降りた。それでも、150キロのストレートと140キロ台のフォークに120キロ台の縦のカーブなどを織り交ぜて毎回の9奪三振、4月21日以来の勝利投手となった。
主砲である吉田の活躍も光った。初回、1死1塁から、相手先発バンデンハークの投じた初球、内角への149キロのストレートを右翼に運ぶ、豪快な12号2ランを放ち、打線に火をつけたのである。
稲葉監督はチームを勢いづけたオリックスの主軸ふたりを絶賛。まず、「今日は彼を見に来た」という山本については、「シーズン中、調子が良い時も状態が悪い時もある」とした上で、こう称えた。
「今日はストレートに力強さがあり、変化球もキレていた。一つひとつボールが素晴らしい。あらためて素晴らしい投手だなと思った」
【動画】稲葉監督が絶賛! バンデンハークから吉田正尚が放った圧巻アーチはこちら
さらに吉田については、「初球のストレートを自分のタイミングでとらえていた。三振の少ない打者は、長打が増えないものだが、狙った球をとらえる能力が高い。選球眼も良く、四球も取れる」と、オランダ代表エースでもあったバンデンハークから打った一発を称賛した。
東京五輪を間近に控え、気になるのが投手の役割分担だ。山本は2019年のWBSCプレミア12でチームの事情によりクローザーを任されてもいた。
短期決戦を勝ち抜くうえでカギともなる投手陣について、稲葉監督は「勝ち負けで試合数が変わり、いろんなことを考えることが必要」と持論を口にし、「(役割分担については)いろんな可能性を含めて考えたい」と語っている。
「本人と話し合うのはもちろん、(所属)チームもそうだし、いろんな可能性を考えたい。五輪メンバーは24人と少ないので、ジャパンでは自分のチームでやっていないところでやってもらわなければいけない。一応、先発何人、中継ぎ何人、抑え何人というなかで、ロングも考えながら決めていこうと思う。もうすぐ決めなければいけない期日が迫っており、構想をしっかりと持ちたい」
東京五輪は開催中止も叫ばれているが、選手たちはやる気を漲らせる。山本が「開催に反対の方もたくさんいるが、出られるなら全力でプレーするだけ。1日、1日をしっかりと頑張りたい」と語れば、吉田は「まったく想像できていないが、開催されるならその舞台に立てるようにやりたい」と強調した。
28日に決定した1次リーグの組分け方法について、「たぶん、韓国とは当たらないのだろうな、とそこだけですね。相手が決まらないと予想ができない。これからデータを集めたい」と語った稲葉監督。48歳の指揮官の構想は、ここから練り上げられていきそうだ。
取材・文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。