専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

TJ手術を経てつかんだ重剛一体の新スウィング――岩村明憲が見た大谷翔平ホームラン量産の理由<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.07.12

両リーグトップの本塁打数を放っている大谷。メジャー経験者である岩村氏の目に、そのパワーの源泉はどこから生まれたのか訊いてみた。(C)Getty Images

両リーグトップの本塁打数を放っている大谷。メジャー経験者である岩村氏の目に、そのパワーの源泉はどこから生まれたのか訊いてみた。(C)Getty Images

 大谷翔平(エンジェルス)が、日本人選手としてはかつてない勢いで本塁打を量産している。このままいけば、アジア人史上初のホームラン王獲得も決して夢ではない。なぜ、大谷はメジャーの大舞台でこれだけ打てるのか。日本では大谷と同じ左のスラッガーとして活躍した元メジャーリーガー、岩村明憲氏に大谷の凄さについて話を聞いた。

――まず、昨年までの大谷選手についてお伺いします。岩村さんは昨年までの打者・大谷をどのように見ていましたか?

 メジャー1年目(2018年)から見ていて、特にメジャーはタイミングの取り方が難しいと本人は感じたんじゃないかなと思っていました。昨年まではそれに対して試行錯誤している部分がありました。

 ただ、一昨年にピッチングの方でヒジを怪我をしてしまったことで、打撃についてもヒジの状態と相談になっていたと思うんですよね。むしろバッティングは、ピッチングができない悔しさであったり、何かしら「チームに貢献にしたい」という思いを発散する場所、気分転換をする場所になっていたと感じていました。

【動画】月まで行った超特大アーチ! マリナーズ戦で放った大谷の最新HRはこちら
 
――試行錯誤というのは、具体的にどのようなことでしょうか?

 1年目から、大谷選手はいろんなタイミングの取り方で対応しようとしていました。足を上げたり、ノーステップになったり、その後はまた足を上げて打つようになったり……。いろいろ本人の中でタイミングの取り方を工夫している姿が垣間見られましたよね。今年はそれに加えて、下半身主導、つまり足でしっかりタイミングを取って、フィニッシュの瞬間までしっかりパワーを下から伝える連動ができていると特に感じます。

――下半身と言えば、大谷選手は今年、ウェイト・トレーニングで下半身を鍛えたと言われています。前年はヒザの故障などでトレーニングができなかったようですが、やはりバッティングにおいては、下半身やヒザの果たす役割は重要ということでしょうか?

 そうですね。ヒザも含めた「ジョイント」と言われる関節部分の痛みは、バッティングだけでなく、スポーツ動作を行なう上ですごく大きな役割を果たします。そういうところに痛みがあると、やはりプレーに集中できない面はあると思います。

 なので、19年に左ヒザの手術をしたことだけでなく、18年にトミー・ジョン手術を受けたことによって、全身をリハビリで鍛え直すことができたというのは、手術の副産物と言えるんじゃないでしょうか。通常、トミー・ジョン手術は投球にのみ寄与するものと思われがちですが、実は大谷選手の場合、バッティングにも寄与しているということですね。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号