MLB

「粘着物質問題を解決する!」五輪公式球に米代表右腕が惚れ惚れ「みんなが気に入っている。完璧だ!」

THE DIGEST編集部

2021.08.01

SSK製を気に入ったライアン(左)は球界導入へ進言。マックス・シャーザー(右上)やセルジオ・ロモ(右下)など、いまの調査体制に反発を抱くものは少なくない。(C)Getty Images

 日本では東京オリンピック2020が盛り上がりを見せ、侍ジャパンもオープニングラウンドを首位通過。次戦はアメリカ代表と相まみえる。もっとも、ご存知の通り、この米国代表にメジャーリーガーは参加していない。MLBはシーズンを中断してまで五輪に選手を派遣する必要がないと考えているからだ。

 そのMLBは6月に大きなルール変更を行なった。投手がボールのグリップ力を高めるために使っていた粘着性物質の使用を禁止にし、試合前や試合中に審判が違反をしていないかチェックするようになっている。

 MLBの見解では、複数の投手が握りのためではなく、回転数向上という"違反"をしている現状が看過できないからだという。しかし、禁止されたピッチャーたちからは「なぜシーズン中に?」「そもそもボールが滑るから悪い」との声も噴出した。

 いまだに議論紛糾が続くこの"滑るボール"について、「粘着物質問題を解決する!」と声高に叫んでいるのが、現在アメリカ代表として五輪を戦っているジョー・ライアン投手だ。7月30日のイスラエル戦で6回1失点の好投を見せた右腕は、五輪公式球となっているSSK製のボールについて訊かれると、「五輪予選から帰ってきたときから、持ち帰れるだけ持ち帰ってみんなに見せたんだ。世界最高のボールだよ」と称賛したのだった。

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 これまではローリングスのボールを使っているライアン。同社のボールは滑りやすく、さらにサイズも一定でないことから、多くの投手が何かしらの"対策"が必要とされてきた。しかし25歳の米国代表右腕はSSK製のボールを「このボールは均質だ。粘着物質はまったくいらない。ロジンバッグも触れる必要すらないよ」と語り、その質の高さに感動した様子。

 さらにライアンはこう続けた。「このボールはアメリカでも必要だよ。アメージングだ、完璧だよ。打者も気に入っているし、投手もみんなこのボールを気に入っているよ。SSKはこれを作るのに素晴らしい仕事をしている。僕たちにはこのボールが必要なんだ。粘着物質に関する現在の問題の多くを解決できると思う」として、メジャー球界への導入を熱望したのだった。

 これはライアンだけに限った話ではなく、これまで日本のボールに触れたことのある関係者の多くが似たようなコメントを残している。ただ、利権なども絡んでことはそう簡単な話ではないというのが実情だ。しかし、投手の"悲痛"な叫びを考えれば、機構はボールの質を改善するか、日本製に変更するという案を真剣に考えるべきなのかもしれない。

 ちなみに、このライアンは代表期間中にタンパベイ・レイズからミネソタ・ツインズへトレードされるという、かなり珍しい経験をしている。

構成●THE DIGEST編集部
 
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