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プロ野球

プロ野球“ファーム沼”の住民たち/前編ーー朝5時半起床で球場へ。“沼”にどっぷりハマったファンの生態

村岡範子

2021.09.12

日本ハムファンの「もう一つの聖地」鎌ヶ谷スタジアム。「鎌スタ」<br />
の愛称で親しまれている。

日本ハムファンの「もう一つの聖地」鎌ヶ谷スタジアム。「鎌スタ」
の愛称で親しまれている。

“沼”という表現をご存じだろうか。「何かにどっぷりハマる」という意味で、ここ数年、よく使われるようになった言葉だ。アニメ、アイドル、鉄道などはよく知られているが、中には聞いた瞬間、「そんな世界に?」と驚いてしまうジャンルもある。

 かく言う私は、「プロ野球のファーム」という沼にどっぷりとハマっている。

 私がファームにハマったのは2018年のこと。応援していた選手が一軍から降格し、「球場に見に行ってみようかな」という軽い気持ちからだった。一軍と違い、ファームの球場は基本的にどこも交通の便が良くない。しかも、試合は平日のデーゲームが大半。ハードルがかなり高く、なかなか踏み切れなかったが、思い切って日本ハムのファーム本拠地・鎌ヶ谷スタジアム(通称鎌スタ)に行ってみると、球場でもファンサービスでも選手との距離の近さに驚いた。今まで知らなかった世界に足を踏み入れたようで、どんどん沼にハマっていった。

 そこから、生活ががらりと変わった。週2回の休みのほとんどは試合観戦。終電で帰宅した翌日に朝5時半に起きて球場に向かい、試合前練習からゲーム後の練習までしっかり見届けて夜8時頃に帰宅。鎌スタだけではなくビジターにも観戦に行ったし、試合がない日にも練習を見に行った。
 
 仕事の行き帰りには、次の観戦時に選手に渡す差し入れの買い出しを済ませ、試合前日には差し入れに同封するファンレターを書く。行き帰りの電車内で写真を整理し、家に着いてからは推し選手の打席を動画配信で再度チェックして個人用のスコアブックに記録する。観戦に行けない日も、動画配信で試合のチェックは欠かさない。生活のほぼすべてがファーム観戦に費やされていた。

 この記事を書くにあたり、写真を保存してあるハードディスクを遡って観戦した試合数を数えてみると、19年は鎌スタで31試合、練習日2日、ビジター7試合、みやざきフェニックスリーグ11試合、秋季練習6日、自主トレ4日……自分でも思わずドン引きしてしまった。

 私と同じように、ふとしたきっかけからファーム沼にハマった同志がいる。

「子供が少年野球を始めたので、スコアを書けるように練習をしたくて、家から近かった鎌ヶ谷スタに観戦に行ったのが最初」と語るのは主婦のSさん。元々日本ハムファンだったが、一軍の選手を少し知っている程度だった。ところが、ファームで試合を見ているうちに、選手たちが一生懸命野球に取り組んでいる姿に惹かれてロッテファンになった。それからはロッテ浦和球場へも熱心に足を運んでいたが、コロナ禍で無観客開催が続いており、現在はひたすらビジター球場へ足を運ぶ日々だ。
 

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