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「毎回対戦したくない」アストロズ打線は大谷翔平をいかに攻略したのか。強打の三塁手ブレグマンが舞台裏を明かす

THE DIGEST編集部

2021.09.11

球界屈指の打力を誇るブレグマン(左)。彼を擁するアストロズはいかにして大谷(右)を攻略したのか。(C)Getty Images

「やっぱり『調子悪いなあ』っていう感じがしました。けど、そのなかでもなんとか(試合を)作っていくための配球だったりとか、工夫は必要かなと思います」

 現地時間9月10日に行なわれたヒューストン・アストロズ戦後、先発マウンドに立った大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、自身のパフォーマンスをそう評した。
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 辛口になったのも無理はない。今季18度目のリアル二刀流で先発に臨んだ大谷は、3回1/3を投げて自己ワーストとなる9つの安打を打たれ、6失点という内容で降板したのだ。

 ベーブ・ルースが1918年にやってのけた「シーズン二桁本塁打・二桁勝利」の偉業達成を狙ったが、こちらは次回以降に持ち越し。やはりリーグトップのチーム打率.267を誇るアストロズ打線は、容易い相手ではなかった。

 目を引いたのが各打者の修正力。それが顕著に表れたのが、アストロズが2点を追う3回裏の攻撃だ。2死2塁の場面で、3番アレックス・ブレグマンが96.6マイル(約155.4キロ)の4シームをセンター前に弾き返して1点を返す。さらに4番のヨーダン・アルバレスと5番カルロス・コレアがともに大谷のスライダーを捉え、それぞれタイムリー二塁打とした。

 いずれも彼らが打点をマークしたのは、最初の打席でジャストミートできなかった球種(ブレグマンはレフト前ヒット)である。それをしっかり次の打席で見事に弾き返すのだからさすがだ。
 
 大谷を攻略した試合後、アストロズの指揮官ダスティ・ベイカーは「オオタニは毎回対戦したいと思える選手ではない。だからこそ、今日の我々はきわめて素晴らしい仕事をした。なにせ彼を4回途中でマウンドから降ろしたのだから。後のオオタニの打席を考えてもだ」と自軍を褒めちぎった。

 では、当事者である選手たちはどんな想いで打席に立っていたのか。大谷から2安打1打点を記録したブレグマンは、こう語っている。

「今日は僕らが、オオタニのピッチングに対してうまく対応したと思う。彼はメジャーの投手の中でもベストワンのひとりだ。それにスライダーやスプリット、4シームみたいな素晴らしい球をいくつか持っている。だけど今日は僕らが、打てる球を追求して、しっかりと打ったんだ」

 いまやメジャー屈指の実力派右腕へと台頭した大谷。そんなサムライを見事に打ち崩したアストロズ打線。彼らが示したハイレベルな戦略に、過去5シーズンで3度の地区優勝を果たしているチームの矜持を見た。

構成●THE DIGEST編集部

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