「米球界の盟主」は、今季もまた世界一になれなかった。ニューヨーク・ヤンキースだ。
悔やまれる終幕だった。熾烈なワイルドカード争いを制したヤンキースだったが、宿敵ボストン・レッドソックスとのワンゲームプレーオフで、エースのゲリット・コールが打ち崩されて2対6の敗北を喫したのだ。
【動画】大谷翔平との激闘! 本塁打を打たれかけたコールのピッチングをチェック
松井秀喜が獅子奮迅の活躍を見せてシリーズMVPを獲得した2009年以降、手が届いていないワールドシリーズへの切符をまたもや逃した。史上最多27度のワールドチャンピオンを誇るヤンキースだけに、逆風は強まる一方だ。とりわけ最終戦で責務を果たせなかったコールに対するネガティブな声は、日増しに高まっている。
2019年に9年総額3億2400万ドル(約353億2000万円)というビッグディールで加入した剛腕は、今季のレギュラーシーズンで16勝(8敗)、防御率3.23、奪三振243と堂々たる成績をマーク。先発ローテーションを固定できない苦しいチーム事情ながら、その影響を感じさせない安定感を誇った。少なくともプレーオフに進出できたのは、彼の活躍によるところが大きい。
それでも、だ。名門のエースは敗因の槍玉にあげられてしまう。ヤンキースの地元でもあるニュージャージー州のローカルニュースサイト『NJ.com』のボブ・クラピスク記者は、「もはやコールはエースではない。ヤンキースは新たなエース格を探すべきだ」と辛辣に批評。そしてブライアン・キャッシュマンGMの手腕を含め、次のように糾弾した。
「振り返ってみれば、GMであるキャッシュマンの最大の過ちのひとつが、マサヒロ・タナカとの契約を見送り、彼と同じ1100万ドル(約12億5280万円)で、ほとんど使い物にならなかったコーリー・クルーバーを獲得したことだろう」
今年1月に去就が注目されていた田中は、古巣の楽天イーグルスと2年契約(推定年俸9億円+出来高)を締結し、約8年ぶりの日本球界復帰を選んだ。一方でぜいたく税の回避を最優先としたヤンキースは、クルーバー、そしてジェイムソン・タイオンと故障明けの2投手を獲得した。
結果的にヤンキースが先発投手陣の軸に据えようとした両投手は、ともに防御率がほぼ4点台と、期待とは程遠い結果に終わった。ゆえにクラピスク記者は、MLB在籍7年で78勝(46敗)を挙げた日本人右腕こそがチームに必要不可欠だった、と球団上層部を断じる。
「たしかに32歳の日本人には少しの衰えがあったかもしれないが、彼は現チームで誰よりも賢くてタフだった。シーズン中に起きた粘着物質問題で、いつも以上に神経質になっていたコールの近くに、もしもタナカがいれば、周囲のプレッシャーから幾分か解放されていただろう。少なくとも投手陣で悩みを抱える必要はなかったはずだ」
開幕前からヤンキースは「先発投手が一番の課題」とされていた。それだけに頼みの綱だったコールが打ち崩されてのシーズンの終焉に、地元メディアは我慢がならないのだろう。
構成●THE DIGEST編集部
悔やまれる終幕だった。熾烈なワイルドカード争いを制したヤンキースだったが、宿敵ボストン・レッドソックスとのワンゲームプレーオフで、エースのゲリット・コールが打ち崩されて2対6の敗北を喫したのだ。
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松井秀喜が獅子奮迅の活躍を見せてシリーズMVPを獲得した2009年以降、手が届いていないワールドシリーズへの切符をまたもや逃した。史上最多27度のワールドチャンピオンを誇るヤンキースだけに、逆風は強まる一方だ。とりわけ最終戦で責務を果たせなかったコールに対するネガティブな声は、日増しに高まっている。
2019年に9年総額3億2400万ドル(約353億2000万円)というビッグディールで加入した剛腕は、今季のレギュラーシーズンで16勝(8敗)、防御率3.23、奪三振243と堂々たる成績をマーク。先発ローテーションを固定できない苦しいチーム事情ながら、その影響を感じさせない安定感を誇った。少なくともプレーオフに進出できたのは、彼の活躍によるところが大きい。
それでも、だ。名門のエースは敗因の槍玉にあげられてしまう。ヤンキースの地元でもあるニュージャージー州のローカルニュースサイト『NJ.com』のボブ・クラピスク記者は、「もはやコールはエースではない。ヤンキースは新たなエース格を探すべきだ」と辛辣に批評。そしてブライアン・キャッシュマンGMの手腕を含め、次のように糾弾した。
「振り返ってみれば、GMであるキャッシュマンの最大の過ちのひとつが、マサヒロ・タナカとの契約を見送り、彼と同じ1100万ドル(約12億5280万円)で、ほとんど使い物にならなかったコーリー・クルーバーを獲得したことだろう」
今年1月に去就が注目されていた田中は、古巣の楽天イーグルスと2年契約(推定年俸9億円+出来高)を締結し、約8年ぶりの日本球界復帰を選んだ。一方でぜいたく税の回避を最優先としたヤンキースは、クルーバー、そしてジェイムソン・タイオンと故障明けの2投手を獲得した。
結果的にヤンキースが先発投手陣の軸に据えようとした両投手は、ともに防御率がほぼ4点台と、期待とは程遠い結果に終わった。ゆえにクラピスク記者は、MLB在籍7年で78勝(46敗)を挙げた日本人右腕こそがチームに必要不可欠だった、と球団上層部を断じる。
「たしかに32歳の日本人には少しの衰えがあったかもしれないが、彼は現チームで誰よりも賢くてタフだった。シーズン中に起きた粘着物質問題で、いつも以上に神経質になっていたコールの近くに、もしもタナカがいれば、周囲のプレッシャーから幾分か解放されていただろう。少なくとも投手陣で悩みを抱える必要はなかったはずだ」
開幕前からヤンキースは「先発投手が一番の課題」とされていた。それだけに頼みの綱だったコールが打ち崩されてのシーズンの終焉に、地元メディアは我慢がならないのだろう。
構成●THE DIGEST編集部