専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

真の狙いは“伝統的監督像”の打破?日本ハムは新庄剛志新監督に何を期待しているのか〈SLUGGER〉

出野哲也

2021.10.30

昨年秋にはトライアウトに参加して注目を集めた新庄氏。監督としても何かと話題を集めそうだ。

昨年秋にはトライアウトに参加して注目を集めた新庄氏。監督としても何かと話題を集めそうだ。

「新庄剛志が北海道日本ハムファイターズの新監督候補に浮上――」とのスポーツ紙の報道が出た際、失礼ながらいわゆる“飛ばし”記事ではないかと疑った。

 それには二つの理由がある。一つは、東京オリンピックで金メダルを獲得した稲葉篤紀監督の就任が既定路線だと、かねてから見られていたこと。そしてもう一つは、自由奔放で常識にとらわれない新庄ほど「監督」のイメージからかけ離れている人物はいないからだった。

 だが、報道は“飛ばし”ではなかった。10月29日、新庄の監督就任が正式に発表された。札幌ドーム元年の2004年に日本ハム入りし、チームを変えた男が、ドームを本拠とする最後の年に指揮を執るわけだ。また、ファイターズOBの監督は02年の大島康徳以来20年ぶり2人目となる。

 大方の予想を覆し、稲葉が監督ではなくGMに就任したのは、一部選手からの反対があったからとも言われている。ただ、それが事実であったとしても、新庄を監督に選ぶ理由にはならない。ファイターズは一体、新庄のどこを評価して指揮官に迎えたのだろうか。
 
 どの報道でも一致しているのが、新庄を抜擢した動機を「人気取り」だとみなしている点だ。現役時代は言うまでもなく、引退後もバリ島での移住生活などで注目を浴び続け、昨年秋に現役復帰を試みトライアウトに臨んだ際も、参加者の誰より関心を集めた。

 ここ5年間でBクラス4回と低迷しているだけでなく、中田翔(現巨人)の暴力事件や差別的動画などで、イメージが大幅に損なわれたファイターズ。人気回復を目指すには、「新庄監督」は手っ取り早い解決手段であり、そうした面で期待されているのも間違いない。この数日間の報道量だけでも、その宣伝効果が抜群に高いことを改めて実感しているだろう。今年のチームを取り巻いていた湿っぽい空気はすでに一掃され、新庄効果は早くも現れている。もともと監督の条件としてファンサービスに熱心であることを求めるチームであり、その点も新庄は合致している。

 しかし、本当にそれだけの理由で監督を決めるほど思慮が浅い球団とも思えない。「(新庄は)みんなが思っている以上に理論もしっかりしている」(栗山英樹前監督)という声もある。また、戦力面への波及効果も考えられる。例えば、FA資格を取得している梅野隆太郎(阪神)が、同じ福岡県出身の新庄に魅力を感じ、移籍先候補として日本ハムを検討することだってあり得なくはない。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号