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「MLBで最後のヒットを打った投手になるかも」219勝右腕・グレインキーが代打で2夜連続の快音! 打球速度はまさかの“チーム1位”

THE DIGEST編集部

2021.11.01

代打起用された“レジェンド右腕”が98年ぶりの快記録達成。「投手最後のヒット」の称号もゲット?(C)Getty Images

代打起用された“レジェンド右腕”が98年ぶりの快記録達成。「投手最後のヒット」の称号もゲット?(C)Getty Images

 現地時間10月31日、MLBは、アトランタ・ブレーブス対ヒューストン・アストロズのワールドシリーズ第5戦が行なわれ、1勝3敗で追い込まれていた後者が9対5で勝利。明後日からの本拠地でのゲームに逆転優勝の望みをつないだ。

 試合は初回にグランドスラムを許す苦しい展開だったが、湿っていた打線は3番にカルロス・コレアを抜擢して徐々につながりを見せると、5回に3点を奪って逆転に成功。その後も効果的に点を積み重ね、快勝とも言うべき内容を披露した。

 もっとも、この日アストロズ陣営が一番の“盛り上がり”を見せたのは、スコアの入らなかった4回だった。4対5で迎えた4回表の攻撃、1死から投手の打席に回ると、アストロズは代打を選択。登場したのは何と、前日第4戦に4回無失点ピッチングを見せた通算219勝右腕のザック・グレインキーだった。

 シルバースラッガー賞を2回受賞している37歳のベテランは、通算600打席に立って打率.225、9本塁打、OPS.598と、投手としては出色の成績を残している。前日の登板時にもキレイなセンター前ヒットを打っており、野手の登録も限られているために代打起用となったわけだが、グレインキーはこの日も高めのボール球を完璧に右翼前に運び、2試合連続のヒットを放って見せた。

【動画】投手の代打に“投手”で起用されたグレインキーが、アストロズ“最速”打球で記録的一打
 
 ワールドシリーズで投手が代打ヒットを打つのは1923年以来、実に98年ぶりの快挙。結局、この回に得点は入らなかったものの、チームの反撃ムードを盛り立てる効果的な一打だった。しかも、この日アストロズの選手が記録した打球速度でも、グレインキーの105.9マイル(170.4キロ)が最速というのだから一層驚きだろう。

 そして、この日のグレインキーが記録した安打は、もしかしたら投手がメジャーで最後にヒットを打った最後のシーンかもしれないとして話題を呼んでいる。

 メジャーリーグはこのオフに現行の労使協定が失効。そのなかで「ユニバーサルDH」が導入される可能性が取り沙汰されている。現在、ナ・リーグにはDHがなく投手も打席に立っているが、多くの投手からは故障の危険性などもあって不満の声は少なくなく、加えて投手の打撃成績は一部を除いてさんさんたるものとあって、両リーグともDH制を敷くとも言われている。

 そして、この日、行なわれたワールドシリーズはナ・リーグ本拠地での今季最終戦。もし来季にユニバーサルDHが導入されるとなると、グレインキーの一打が“投手最後のヒット”となる可能性が高いというわけだ。もっとも、米放送局『Fox Sports MLB』の人気アナリスト、ベン・バーランダーの見解は少し異なるようである。

『New York Post』の名物記者ジョエル・シャーマンから「グレインキーが最後にヒットを打った投手になると思うか?」と質問されたバーランダーは、「その可能性が相当に高いですね」とコメントしつつ、こう答えた。「でも、ショウヘイ・オオタニはノーカウントですね。なぜなら彼は、ユニコーンだから(注:ユニコーンは神話に登場する一角獣のことを指し、転じて現実離れした存在の人物を形容する際に用いられる)」。

 もし、来季からユニバーサルDH導入となれば、限りなく全チームが投手を打席に入れることはないだろう。しかし、今季メジャー3位の46本塁打を放った“投手”・大谷であればDH解除も十分にあり得る話。実際、今年6月23日に行われたロサンゼルス・エンジェルス対サンフランシスコ・ジャイアンツ戦では、ア・リーグのエンジェルスは大谷を「2番・投手」で起用してDHを使わず、ナ・リーグのジャイアンツだけが採用する一件があった。

 今後、メジャーの仕組みが大きく変わるかはまだ決定はされていないものの、グレインキーの一打が記録的なものとなったのに変わりはない。そして同時に、大谷翔平という存在がいかに“異端”なのかも分かる一幕だった。

構成●THE DIGEST編集部 
 
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