プロ野球

DeNA新抑え候補クリスキーってどんな選手? 史上最多1イニング4暴投を記録した“荒れ球”リリーバー<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.12.08

ハマの抑え候補として加入したクリスキー。抜群の威力を誇る一方で、その制球力が大問題!? (C)Getty Images

 今季セ・リーグ最下位に沈んだDeNAは12月8日、新助っ人外国人としてブルックス・クリスキー投手の獲得を発表した。来年2月に28歳となる右腕は新クローザー候補として、三嶋一輝や山﨑康晃との争いにも注目される。

 クリスキーは昨年ヤンキースでメジャーデビューし、今季途中にオリオールズへ移籍。少ない登板ならがも両年とも防御率は14点台(!)とあって実績はかなり乏しい。それでも、平均153キロの4シームと切れ味鋭いスプリッターの威力は、マイナーリーグにおいては十分に通用している。

 マイナー1年目から奪三振率は毎年11個以上を誇り、今季も3Aでは29.1回を投げて43三振、奪三振率13.19をマークした。メジャー通算でも11.40と上々の数字を残しており、こと球威に関しては文字通り"メジャー級"だった。では、なぜこの投手が壊滅的な防御率に終わっているのかといえば、ひとえに制球難だからだ。

 マイナーでは過去2シーズンとも与四球率は4個以上、メジャーでは計15.0回で13四球と、イニング数とほぼ同じだけ走者を出している。そして、ストライクを取ろうとしたボールを長打にされる悪循環に陥っていた。そんなクリスキーは今季、彼らしい(?)形でメジャー史に残る"偉業"も打ち立てている。

【動画】ハマの抑え候補・クリスキーの"大珍事"! 1イニングで暴投4連発
 
 ヤンキースに在籍していた7月22日のレッドソックス戦、球界最大のライバル対決の延長10回裏にクリスキーはマウンドに上がった。メジャーでは延長タイブレークが採用されており、無死二塁の場面でスタート。この窮地を無失点で切り抜ければ、ヤンキースの勝利という形だった。

 しかし右腕はその初球、いきなりワイルドピッチで走者を三塁まで進めてしまう。レッドソックス本拠地とあって沸き立つ場内。そしてカウント2ー1からの4球目、クリスキーは大きく外れたところに投げる再びの暴投で、簡単に同点を許してしまった。結局、先頭打者を四球で歩かせると、次の打者にも暴投、暴投。最終的に犠牲フライでサヨナラ負けを喫した。

 1イニング4暴投はメジャーワーストタイ、9回以降に記録した投手は初という不名誉なレコードにクリスキーの名前が刻まれた。直後のマイナー降格後に再びチャンスをもらったが、そこでも結果を残せず40人枠を外され、オリオールズを経てDeNAに移ったというわけだ。

 この制球難という大きな課題を克服できなければ、日本でも結果を残すことは難しいだろう。しかし、環境の変化、特に投げやすいとされる日本のボールがハマるようなら、彼の球威を持ってすれば活躍の可能性も十分。果たしてどちらに転がるか、ある意味で楽しみな投手かもしれない。

構成●SLUGGER編集部
 
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