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MLB

ボンズ、クレメンスにも光!? 「ゴールドグラブ16度」のカットと「50%ジンクス」のホッジズが殿堂入りした意義<SLUGGER>

豊浦彰太郞

2021.12.14

カット(左)は制球力にも優れ、与四球率でも12シーズンでリーグ10位以内。ホッジズ(右)もタイトル獲得はないが、通算OPSは.846と真の強打者だった。(C)Getty Images

カット(左)は制球力にも優れ、与四球率でも12シーズンでリーグ10位以内。ホッジズ(右)もタイトル獲得はないが、通算OPSは.846と真の強打者だった。(C)Getty Images

 アメリカ野球殿堂は現地時間12月5日、時代委員会選出による2022年の殿堂入り選手を発表され、バド・ファウラー、バック・オニール、ジム・カット、ギル・ホッジズ、ミニー・ミノーソ、トニー・オリバの6名が選ばれた。今回はこのうち、通算283勝のカットと、球宴選出8度の強打の一塁手で、監督としてもメッツで世界一をつかんだホッジズについて、個人的感慨を述べたい。

 そもそも野球殿堂入りには2つのルートがある。引退後5年を経た選手を対象とする全米野球記者協会(BBWAA)の選出と、そこから漏れた選手に加えて、監督やオーナー、GM、審判なども対象とする時代委員会による選出だ。

 後者は長い歴史を4つの時代に分け、それぞれの区分を一定の頻度で選出を行なっている。今回は1949年以前の「Early Baseball」と、50~60年代の「Golden Days」に活躍した選手が対象で、カットとホッジズはいずれも後者の区分だった。

 カットはイチローや松井秀喜世代のMLBファンにとって、ヤンキース戦でのテレビコメンテーターのイメージが強いかもしれない。しかし、かつてはツインズ、ホワイトソックスなどで25年間にわたって活躍した名左腕だ(引退時点では投手として史上最長のキャリアだった)。シンカーやスクリューボールを短い投球間隔で「ちぎっては投げ」のスタイルで、シンデレラになぞらえて「2時間が経ったらオレの速球はカボチャに戻るからな」と語っていたという。
 
 しかし、BBWAAの投票では、5年目の1993年の29.6%が最高と評価は高まらなかった(殿堂入りには75%以上の得票率が必要)。その理由としてシーズン20勝以上は3度のみと、傑出したシーズンや印象的な全盛期がなかったことが挙げられていた。

 その一方でカットは守備の名手としても知られ、62年から77年まで16年連続でゴールドグラブを受賞している。守備に関しても、DRSやUZRといった最先端指標が普及する現代とは異なり、イメージや惰性で選出が続いた面もあろうかと思うが、それでもこの記録は凄い(ポジションを問わず、同賞の現在の最多受賞はグレッグ・マダックスの18度だ)。

 今ほどインターネットのニュース記事の発信が発達していなかった時代は、現地の専門誌を読む楽しみのひとつが、ユニークな意見があふれる読者投稿欄だった。20年近く前のことだが、『Baseball Digest』誌の「カットが殿堂入りしていないのはけしからん」とする投稿が目に付いた。

 殿堂入り名遊撃手オジー・スミスのゴールドグラブ受賞は13度だったが、カットは16度。「それだけでも選出に値するではないか」というスジの通った“暴論”だった。今回の殿堂入りの報に接して、ぼくは「あんたの主張がやっと認められたよ」と、その見ず知らずの投稿者に心の中で祝福を送った。
 

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