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プロ野球

竜の若大将は長打力向上を目指すも不発。新天地で振るわなかった“北のジャイアン”【セ6球団の“逆MVP”】<SLUGGER>

出野哲也

2021.12.16

中田は巨人移籍後も34試合で打率.154、3本塁打とまったく振るわなかった。写真:産経新聞社

中田は巨人移籍後も34試合で打率.154、3本塁打とまったく振るわなかった。写真:産経新聞社

 12月15日にMVPが発表され、セ・リーグは村上宗隆(ヤクルト)、パ・リーグは山本由伸(オリックス)が受賞した。では、不振や故障などでファンやチームの期待を最も裏切った“逆MVP”を選ぶとしたら一体誰になるだろうか。セ・リーグ6球団から一人ずつピックアップした。

▼ヤクルト:木澤尚文
 日本一になっただけあって、大きくチームの足を引っ張った選手も、ひどく期待外れだった選手も見当たらない。強いていえば内川聖一とバンデンハークの元ホークスコンビかもしれないが、ここ数年の成績からすれば、期待度も正直それほど高くはなかった。

 というわけで、厳しいかもしれないが期待通りではなかったという点でルーキーの木澤を選んだ。大卒ドラフト1位で即戦力との触れ込みで入団しながら一軍登板なし、二軍でも防御率6点台。10月のフェニックスリーグでは4.1回15失点と大炎上した。他球団のドラ1にも一軍の戦力にならなかった者はいたが、前評判との落差は一番大きかった。
 
▼阪神:チェン

 年俸2億1000万円の2年契約で阪神がチェンを獲得した時点から、いぶかしむ声は聞かれた。20年はロッテで4試合投げただけ、すでに35歳、しかもゴロ系投手とあって、内野守備に不安のある阪神で高額年俸に見合う働きができるのか? と思われていたのだ。

 それでもなお、登板自体が5月までの2試合だけとは懐疑派の想定をも下回るもの。肩を痛め、後半戦は二軍でも投げずじまいだった。スアレス、ガンケル、アルカンタラらが活躍したので、どのみち外国人投手枠は一杯。戦力面でマイナスになることはなかったとはいえ、費用対効果は最悪だった。

▼巨人:中田翔

 日本ハムで出場停止処分を受けていた中田を、巨人がトレードで獲得したのは8月20日。その時点で47勝33敗、勝率.588だったが、加入後は14勝29敗で.326と急降下した。もちろん、その全責任が中田にあるわけではない。だが、本人の成績も34試合で打率.154、3本塁打、OPS.571。これでは起爆剤どころか、燃焼中のエンジンの消火剤だった。

 獲得した経緯の不透明さなどに批判が殺到し、チームを取り巻くムードが悪化したことを考えても、2球団での“逆MVP”はやむなし。来季こそ心機一転、復活してほしい。
 

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