プロ野球

性格は「優等生」でも選手としては「ダイヤの原石」――「勝負の4年目」を迎える根尾昂に贈りたいイチローの金言<SLUGGER>

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2022.01.03

昨年5月に放ったプロ初本塁打は満塁弾。スター性はやはりピカイチだ。写真:産経新聞社

 中日の根尾昂が「勝負の」4年目を迎える、ことになっているらしい。

 確かに、周囲がそう煽りたくなる気持ちも分からないではない。プロ入り同期の小園海斗(広島)はすでに遊撃のレギュラーを獲得。さらに昨年は、ポジションこそ違うが1学年下の奥川(ヤクルト)や宮城大弥(オリックス)、佐々木朗希(ロッテ)も一軍でブレイクした。

 ひるがえって根尾の2021年はどうだったか。初の開幕一軍入りを果たし、5月にはプロ初本塁打をグランドスラムで飾る離れ業を披露。あらためてスター性の高さを印象付けたが、その後は徐々に出場機会を失い、7月半ばに二軍落ち。終盤に再昇格したが、最終成績は78試合で打率.178、1本塁打、OPS(出塁率+長打率).482という厳しい結果に終わった。

 秋季キャンプでは、立浪和義新監督の意向で本格的な外野転向が決定。2022年は真価を問われるシーズンになる――というのが、大方の見立てのようだ。
 
 だが、根尾の場合、一軍での活躍を云々する前に、まずはファームでしっかり結果を残すことが先決なのではないだろうか。

 根尾のプロ3年間の二軍成績をまとめると以下のような数字になる。

2019 108試合 打率.210/出塁率.266/長打率.298 OPS.564
2020  71試合 打率.238/出塁率.286/長打率.351 OPS.637
2021  34試合 打率.157/出塁率.281/長打率.204 OPS.485

 最も数字が良い20年ですら打率は2割5分に満たず、OPSも物足りない水準だ。3年間通算では、打率.213/出塁率.275/長打率.304。この状態で、一軍でのブレイクを期待する方に無理があるのではないか。

 例えば、小園はプロ2年目に二軍で打率.305(66試合)をマークし、一軍昇格の足掛かりをつかんだ。大阪桐蔭で根尾とともに甲子園春夏連覇を果たした藤原恭太(ロッテ)も、まだ一軍では確固たる結果は出ていないが、二軍成績は年々向上。昨季は40試合で打率.289/出塁率.407/長打率.423を記録し、ブレイクの土台はできつつある。
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仁村前二軍監督が指摘した根尾の課題