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MLB

元ヤクルト・風張蓮も米国へ“輩出”。「アジアンブリーズ」が提供する、アメリカ球界への新たな『移籍』の形

中島大輔

2022.03.15

ヤクルトで中継ぎ右腕として活躍した風張は、アジアンブリーズでの好投を評価されて米独立最高レベルのチームへ移籍を果たした。写真提供:アジアンブリーズ

ヤクルトで中継ぎ右腕として活躍した風張は、アジアンブリーズでの好投を評価されて米独立最高レベルのチームへ移籍を果たした。写真提供:アジアンブリーズ

 MLBのロックアウトが明け、広島からポスティングシステムで移籍を目指す鈴木誠也の動向が注目される一方、いち早く渡米し、アメリカ球界から這い上がろうとしている日本人選手たちがいる。

 とりわけ興味深い選択をしたのが、昨季限りでDeNAを契約満了となった右腕投手・風張蓮だ。社会人野球やメキシコのプロ球団から受けたオファーを断り、自費で渡米してトライアウトを受ける道を選んだ。

「NPBではヤクルトをクビになり、DeNAに入ったけれども1年で戦力外になったわけじゃないですか。もう1回NPBでやりたいと考えたら、心身ともにダイナミックな変化が必要です。そこで『選択肢を増やす』というアジアンブリーズの理念を伝えたら、共感して参加することになりました」

 そう事情を明かしたのは、アジアンブリーズというトラベリングチームを2019年に設立した色川冬馬CEOだ。同氏はアメリカや中南米でプレー、イラン代表やパキスタン代表などを率い、昨季からBCリーグの茨城アストロプラネッツでGMを務めている。独自で築いた人脈と上達法を伝えながら右腕投手の松田康甫をドジャース、ともに外野手の山中尭之をオリックス、大橋武尊をDeNAに送り出した。
 
 色川氏は球団の枠を超えて多くの選手にチャンスを増やすべく、今年2月、アリゾナスカウティングリーグをスタートさせた。それぞれ約20人の日本人、外国人選手を2チームに分け、13日間で毎日試合を実施。MLBやNPBのスカウト、日米の独立リーグの監督やコーチを招待してトライアウトを実施した。参加選手のレベルはピンキリで、昨季韓国のロッテ・ジャイアンツで9勝を挙げたベネズエラ人右腕のエンダーソン・フランコから、日本人大学生で野球部に所属していない選手までいる。

 トラベリングチームはその名の通り、各地を転戦しながら試合を行っていく。日本では珍しい形態だが、アメリカの少年野球ではよくあり、独立リーグでも同様の方式で参戦するところもある。そうした座組みで日本人がアメリカで試合をする意義について、色川氏はこう話した。

「アジアンブリーズはアメリカ式の野球を現地で行ない、レベルの高いところから低いところまで、日本では見られないものが見えます。参加する選手たちは、向こうからやってくる選択肢をただ待っているのではなく、自分から取りにいかなければいけない立場だよね、と。

 アジアンブリーズに参加すれば、アメリカの三大独立リーグであるフロンティアリーグ、アメリカン・アソシエーション、アトランティック・リーグのスカウトが見にくる。加えてメジャーリーグの球団とも試合をしているので、そこで突き抜けたパフォーマンスを出せればマイナー契約のチャンスもあります」
 
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