3月14日の夜、カブスの球団幹部たちは自分たちをアピールするチャンスを得た。ロサンゼルスのレストランで、獲得を目指していた鈴木誠也と夕食をともにすることになったのだ。ジェド・ホイヤー編成総責任者は、チームの分析部門が提起した鈴木についてのある懸念を確かめようとしていた。
シカゴの寒い気候を、鈴木はどう思うだろうか?
少しためらいながらも、ホイヤーは鈴木が住み慣れた広島や、同じく獲得を目指していたライバルのパドレスが本拠を置くサンディエゴとシカゴの気候を比較した図表を鈴木の前で取り出した。
図表の効果はてきめんだった。一気に契約寸前まで進み、鈴木は翌日に自ら赴いてこの目でシカゴの街を確かめたいと申し出たのだ。
この点に関しては、ある意味で不正工作のようなものだった。あるいは、カブスと鈴木の長きにわたる関係を望む天の配剤だったのかもしれない。
というのも、鈴木が訪れた日のシカゴは、3月半ばにしては例外と言っていいほど暖かったからだ。 「華氏65度(摂氏18度)くらいに温度計を上げたんだ。3月中旬だというのに」とホイヤーはジョークを飛ばした。
「その時点で、私たちはかなり手ごたえを感じた」
数時間後、5年8500万ドルの契約が取り交わされ、カブスはオフシーズン最大の目標に掲げていた選手の獲得に成功した。ポスティング料1462.5万ドルを加えると、球団史上5番目の大型契約となる。
「心を動かされました」。入団会見で、鈴木は通訳を通して語った。
夕食会でホイヤーが取り出したシカゴの天気の図表は、鈴木獲得に懸けたカブスの強い思いだけでなく、球団の入念なアプローチと準備をも示している。
昨年12月2日にロックアウトが始まった時点で、鈴木の各球団との交渉期間は10日間しかなかった。
カブスは、鈴木がZoomを通して交渉することを選んだ8球団の中の1つだった。その時の会談は1時間ほどで、交渉を進めるには十分ではなかった。
ロックアウト突入のデッドライン前に猛烈なプッシュをかけて口説き落とそうとしたチームもあったが、最初の交渉で好印象を与えたことを感知したカブスはあえて鈴木に敬意を表し、彼のペースや熟考を重視するアプローチを取った。
シカゴの寒い気候を、鈴木はどう思うだろうか?
少しためらいながらも、ホイヤーは鈴木が住み慣れた広島や、同じく獲得を目指していたライバルのパドレスが本拠を置くサンディエゴとシカゴの気候を比較した図表を鈴木の前で取り出した。
図表の効果はてきめんだった。一気に契約寸前まで進み、鈴木は翌日に自ら赴いてこの目でシカゴの街を確かめたいと申し出たのだ。
この点に関しては、ある意味で不正工作のようなものだった。あるいは、カブスと鈴木の長きにわたる関係を望む天の配剤だったのかもしれない。
というのも、鈴木が訪れた日のシカゴは、3月半ばにしては例外と言っていいほど暖かったからだ。 「華氏65度(摂氏18度)くらいに温度計を上げたんだ。3月中旬だというのに」とホイヤーはジョークを飛ばした。
「その時点で、私たちはかなり手ごたえを感じた」
数時間後、5年8500万ドルの契約が取り交わされ、カブスはオフシーズン最大の目標に掲げていた選手の獲得に成功した。ポスティング料1462.5万ドルを加えると、球団史上5番目の大型契約となる。
「心を動かされました」。入団会見で、鈴木は通訳を通して語った。
夕食会でホイヤーが取り出したシカゴの天気の図表は、鈴木獲得に懸けたカブスの強い思いだけでなく、球団の入念なアプローチと準備をも示している。
昨年12月2日にロックアウトが始まった時点で、鈴木の各球団との交渉期間は10日間しかなかった。
カブスは、鈴木がZoomを通して交渉することを選んだ8球団の中の1つだった。その時の会談は1時間ほどで、交渉を進めるには十分ではなかった。
ロックアウト突入のデッドライン前に猛烈なプッシュをかけて口説き落とそうとしたチームもあったが、最初の交渉で好印象を与えたことを感知したカブスはあえて鈴木に敬意を表し、彼のペースや熟考を重視するアプローチを取った。