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MLB

「シカゴの寒い天候を鈴木はどう思うだろうか?」GMの懸念と思わぬ幸運。現地記者が明かす鈴木誠也カブス入団秘話<SLUGGER>

ゴードン・ウィッテンマイヤー

2022.04.02

「彼はマスターズの選手だ」。当時、カブスの指揮を執っていたルー・ピネラが福留について語ったことがある。
「マスターズがあるのは4月だろ?」

 カブスはどの面から鈴木がヘイワードや福留より優れていると考えたのだろうか?

 まず、鈴木はこのオフのFA市場で最も守備力の高い外野手だったことが挙げられる。ただ、この点について言うと、ヘイワードもまさにそうだった。

 また球団は、福留が入団した08年当時と比べて、海外選手についてのデータが蓄積されていると考えていて、とりわけ鈴木についてのスカウティングや身元調査には自信を持っている。そのため球団は、鈴木への8500万ドルの投資は安全な賭けだと考えている。

「まず何より、選球眼に優れていて、空振りも多くないパワーヒッターだ」とホイヤーは言う。「そして、これらのスキルはメジャーリーグにも引き継がれる傾向にあるんだ」

 サイ・ヤング賞右腕のコービン・バーンズ、ブランドン・ウッドラフといった好投手を擁するブルワーズと対戦する開幕シリーズで、さっそく鈴木の真価が試される。

 今のところは、彼はチームにうまく溶け込んでいるようだ。
 キャンプ最初の数日、鈴木と最も多く会話を交わしていたのが外野手のイアン・ハップだった。ハップによれば、お互いの家族や故郷のこと、趣味などについて話したという。

「彼のことをもっとよく知ろうと思っているだけさ」とハップは言う。「それに、めちゃくちゃ面白い奴だよ」

 入団会見で、背番号27を選んだ理由について尋ねられた鈴木はそのユーモアのセンスを発揮した。

 鈴木は通訳からマイクを奪い、英語でこう言った。

「マイク・トラウト、アイ・ラブ・ユー」

 今のところ、カブスファンも鈴木に愛を注いでいる。それがどれだけ長く続くか、注目される。

 もちろん、4月半ばのリグリーでのナイトゲームの寒さを知ってもなお、鈴木がシカゴを気に入るかどうかも。

文●ゴードン・ウィッテンマイヤー

著者プロフィール:ビートライター歴24年、BBWAA(全米野球記者協会)の会員でもあるベテラン記者。マリナーズ、エンジェルス、ツインズの番記者を務めた後、『シカゴ・サン・タイムズ』紙で14年間カブスを担当し、20年に『NBCスポーツシカゴ』へ活躍の場を移した。
 
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