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MLB

防御率のタイトルを獲得したリュ・ヒョンジン。だが、FA市場での評価は意外にも…

宇根夏樹

2019.11.14

変幻自在のピッチングで防御率のタイトルを獲得、サイ・ヤング賞投票でも2位に入ったリュ。今オフFA市場の目玉の一人として注目されている。(C)Getty Images

変幻自在のピッチングで防御率のタイトルを獲得、サイ・ヤング賞投票でも2位に入ったリュ。今オフFA市場の目玉の一人として注目されている。(C)Getty Images

 今オフのFA市場には、防御率のタイトルを獲得した投手が2人揃って出ている。アストロズにいたゲリット・コールは、ア・リーグベストの防御率2.50、ドジャースで投げたリュ・ヒョンジンは、ナ・リーグベストの防御率2.32を記録。サイ・ヤング賞投票では、どちらも2位に入った。

 コールが手にする新たな契約は、2億ドルを軽く超えるはずだ。その一方で、リュの新契約はコールの3分の1にも届かない可能性が高い。「MLBトレード・ルーマーズ」は、コールの契約を8年2億5600万ドル、リュを3年5400万ドルと予想している。仮にこの額で決まるとしたら、総額で5倍近く、年平均年俸も3312万5000ドルと1800万ドルとかなりの差がつくことになる。
 今シーズンだけでなく、ここ3年間の防御率で比較しても、リュはコールを凌ぐ(2.71と3.20)だ。しかも、リュは昨オフにドジャースからのクオリファイング・オファーを受諾したので、今年は(今後も)対象外。獲得球団はドラフト指名権を失うことなく契約できる。にもかかわらず、リュの評価がこれほどまでに低いのはなぜなのだろうか。

 リュは33歳、コールは30歳なので、契約年数に差が出るのは当然だ。ただ、平均年俸の違いは、これでは説明がつかない。そこには、他の大きな理由が存在する。リュは故障が多く、1シーズンに200イニング以上を投げたことがない。規定投球回以上すら、メジャーデビューした2013年と今シーズンの2度のみ。15年と16年を事実上棒に振り、今シーズンも短期間ながら故障者リストに2度入った。一方、コールはここ3年連続、通算でも4度200イニングをクリアしている。

 加えて、奪三振の少なさやシーズン終盤の不調も、リュの評価を下げる要因となる。コールの奪三振率13.82は歴代最高のシーズン記録なので別格にしても、リュの8.03は規定投球回以上の61人中39位(両リーグで合計162イニング以上の投手を含む)で、下から数えた方が早い。また、8月下旬以降の7先発は防御率5.40。それまでの22先発は防御率1.45だった。

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