前代未聞とも言える謝罪だ。MLB審判のダン・ベリーノが、現地時間5月6日に声明を発表し、今月4日の試合で退場としたアリゾナ・ダイヤモンドバックスのマディソン・バムガーナーに対する自身の振る舞いに問題があったと認めた。
事の発端となったのは、現地時間5月4日に行なわれたマイアミ・マーリンズ戦の初回だった。ダイヤモンドバックスの先発だったバムガーナーがイニングを終えてベンチに下がろうとする際に、一塁塁審だったベリーノが粘着物質検査を実施。このときに騒動が起きた。
通常、同検査は手や衣服を簡単に確認して終わるのだが、ベリーノは手元を見ずに鋭い眼光でバムガーナーの顔を凝視。すると、これに不快感を覚えた32歳のベテラン左腕が激高。“マッドバム”の異名を持つ男は、ついにはFワードを用いた暴言を吐き、退場処分を言い渡されたのである。
この退場劇は全米で賛否両論を巻き起こした。そのなかには、初回の投球中に33歳の若い球審ライアン・ウィリスのストライク判定にバムガーナーが不満を露わにしていたために、ベリーノはそれを注意したというのもあった。だが、その大半はベリーノへの非難だった。彼が検査時に選手を睨みつけた行為は、本来は不必要な退場を招いたとする声が上がったのだ。
【動画】バムガーナーが激昂! ベリーノ塁審との衝突シーンをチェック
そうしたネガティブな意見を受け、ベリーノは自らの非を認めた。米紙『USA Today』などの複数メディアによれば、15年のキャリアを持つベテラン審判は、「全責任を私が負います」と謝罪したのだ。
「15年前にMLBでの審判キャリアを始めました。その時にさまざまな助言を受けて、『自分の子供が最前列で観戦していると思って全試合をジャッジしなさい』と言われたこともありました。しかし、今週それを果たすことができなかった。起きてしまったことを変えることはできません。この出来事から学び、心からの謝罪をしたい」
審判が自らの判定や振る舞いを公に謝罪するのは異例の出来事だと言える。それだけに現地メディアでも小さくない話題となっており、米スポーツ界で屈指のネットワークを誇る専門局『ESPN』は「こうした声明は極めて稀である」と伝えている。
騒動が起きて以来、波紋を広げてきたバムガーナーの退場劇。だが、当事者であるベリーノが公に謝罪をしたことで事態はようやく落ち着きそうだ。
構成●THE DIGEST編集部
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