プロ野球

DHルール勘違いに岡田監督ドヤ顔、完封でも不名誉記録樹立……交流戦の珍事件簿<SLUGGER>

筒居一孝(SLUGGER編集部)

2022.05.24

相手のDH制ルールの勘違いにニンマリした岡田監督。10年には交流戦優勝も果たすなど、セ・リーグ相手にはさすがの戦巧者だった。写真:産経新聞社

 5月24日からいよいよ始まる交流戦は、今年で17回目を迎える。ここでは、これまでの交流戦で、さまざまな選手が残した珍記録や珍エピソードを紹介しよう。

▼広島のDHルール勘違いにオリ岡田監督ニヤリ

 いまだ予告先発が導入される前の2011年5月20日。京セラドーム大阪で行われたオリックス対広島戦で、前代未聞のボーンヘッドが演じられた。"やらかした"のは広島の野村謙二郎監督だ。この試合で野村監督は、偵察メンバーに投手の今村猛を起用した……「7番・DH」に。

 試合前のメンバー交換でこの記述を見たオリックスの岡田彰布監督は思わずニンマリ。くるりと向き直って本塁付近に引き返し、審判団にドヤ顔で告げた。

「DHは代打出されへんねんで。絶対1打席立たなあかんねんで」

 野村監督は「しまった!」という表情。現役時代からずっとDH制のないセ・リーグで戦ってきた監督ならではのミスだった。その後、"指名打者・今村"は2回1死一塁の場面で打席が回ってくるも、ここは犠牲バントをきっちり決めてお役御免。石井琢朗と交代して事なきを得たが、試合は結局2対3で広島が敗れた。
 
▼ノーヒットノーラン継続中なのに代打で夢潰える…

 14年5月31日、京セラドーム大阪で行われたオリックス対巨人戦。この日のオリックス先発・金子千尋(現日本ハム)は最高の投球を見せた。初回先頭から4者連続三振の立ち上がりから凡打の山を築き上げ、9回まで4四球と1失策のみのノーヒットノーランを継続した。

 だが、最高のピッチングの裏に2つの不運があった。一つは、巨人投手陣もオリックス打線を完璧に抑え込んだこと。先発の菅野智之は7回7安打6四球で120球を費やしながらも無失点。そこから山口鉄也につないで8回まで無失点に抑える。

 もう一つの不運は、オリックスの主催ゲームにもかかわらず、DH制が採用されていなかったことだろう。この年は交流戦10周年ということで、例年とは逆に「パ・リーグ主催試合では指名打者制は使わない」ルールが採用されていたのだ。そのせいで金子も打席に立たざるを得ず、しかも9回裏1死二塁の土壇場で打席が回ってきてしまった。

 当然、オリックスは駿太(現・後藤駿太)を代打に送った。ここでサヨナラなら金子のノーヒッターは達成となるが、巨人の3番手・香月良太は敬遠を選択。その後、代わったマシソンにオリックス打線は抑え込まれ、試合は延長に突入してしまう。この時点で金子の快挙は雲散霧消。さらに延長12回、馬原孝浩が亀井善行に被弾したソロ本塁打が決勝点となって、オリックスは試合にも敗れてしまった。