現地5月24日、アナハイム市議会は、エンジェル・スタジアムと周辺の土地をエンジェルスに売却する契約を無効にすることを全会一致で決議した。これにより、球団が球場周辺に商業施設やホテルなどを建設する再開発プランも白紙となった。
契約無効の原因となったのは、アナハイム前市長ハリー・シドゥの汚職疑惑だ。シドゥ前市長はエンジェルスのオーナー、アート・モレノと土地の売却を交渉する際に市の機密事項を提供し、その見返りとして巨額の選挙資金を得ようとした疑いがあり、FBIから捜査を受けている。
シドゥ前市長は「土地の売却交渉は正当な手続きを踏んだものであり、政治資金を要求した事実はない」と疑惑を否定しているが、23日に市長を辞任。市議会は問題が完全に解決するまでは売却すべきではないとして、契約の見直しを審議にかけたというわけだ。
この無効決議で、土地の売却だけでなく「エンジェルスが2050年までアナハイムに残留する」という決定も白紙となった。これを受けて、球場のリース契約が切れる30年以降にエンジェルスがアナハイムから移転する可能性を指摘する声も出ている。
例えば、ロサンゼルスからも程近いロングビーチ市は以前、11億ドル(1200億円)を投じて新球場を建設し、エンジェルスを誘致することに積極的な意思を示していた。この時はアナハイム市と土地売却契約を結んだことで立ち消えとなったが、再び候補地として浮上してきた。また、ラスベガスやサンアントニオを移転先候補に挙げる向きもある。
もっとも、地元紙『オレンジカウンティ・レジスター』は、「移転はおそらくないだろう」と指摘している。本拠地を移しても、エンジェルスの収益は増えるどころか減る公算が高いからだ。webメディア『ボールパーク・ダイジェスト』のケビン・リーチャートは、「ロサンゼルスを出ても、放映権契約は現在の10分の1にしかならないだろう」と予測。「最大の収益を維持するためには既存の市場にとどまるのが一番いい」としている。
経済誌『フォーブス』にMLBのビジネスに関するコラムを寄稿しているモーリー・ブラウンも、リーチャートの見解に同意した上で、そこからさらに一歩進んで「エンジェルスはアナハイム市との交渉を有利にするために、移転の可能性をちらつかせることは間違いない」と述べている。
また、アナハイム市議会のホゼ・モレノ議員は、アナハイム市がプロスポーツチームにとって最高の立地であることを強調する。いわく、「ここアナハイムには、年間で2500万人の観光客がやってくる。ホンダ・センター(NHLアナハイム・ダックスの本拠地)がある。ダックスもある。それに、ディズニーランドもある。ここに来たくないと思うチームがあるだろうか」とのことだ。
ただ、エンジェルスが今後もアナハイムにとどまり続けるとしても、球場周辺も含めたエンジェル・スタジアムの再整備問題はいずれ解決しなければならない。1966年にオープンした同球場は、すでにメジャーで4番目に古い球場となっていて、改修を重ねているとはいえ、そろそろ「寿命」を迎えているのは誰の目にも明らかだ。
だからこその再開発計画だっただけに、白紙になったことは球団にとっては痛手であることは間違いない。今後のエンジェルスの決断に注目が集まる。
構成●SLUGGER編集部
契約無効の原因となったのは、アナハイム前市長ハリー・シドゥの汚職疑惑だ。シドゥ前市長はエンジェルスのオーナー、アート・モレノと土地の売却を交渉する際に市の機密事項を提供し、その見返りとして巨額の選挙資金を得ようとした疑いがあり、FBIから捜査を受けている。
シドゥ前市長は「土地の売却交渉は正当な手続きを踏んだものであり、政治資金を要求した事実はない」と疑惑を否定しているが、23日に市長を辞任。市議会は問題が完全に解決するまでは売却すべきではないとして、契約の見直しを審議にかけたというわけだ。
この無効決議で、土地の売却だけでなく「エンジェルスが2050年までアナハイムに残留する」という決定も白紙となった。これを受けて、球場のリース契約が切れる30年以降にエンジェルスがアナハイムから移転する可能性を指摘する声も出ている。
例えば、ロサンゼルスからも程近いロングビーチ市は以前、11億ドル(1200億円)を投じて新球場を建設し、エンジェルスを誘致することに積極的な意思を示していた。この時はアナハイム市と土地売却契約を結んだことで立ち消えとなったが、再び候補地として浮上してきた。また、ラスベガスやサンアントニオを移転先候補に挙げる向きもある。
もっとも、地元紙『オレンジカウンティ・レジスター』は、「移転はおそらくないだろう」と指摘している。本拠地を移しても、エンジェルスの収益は増えるどころか減る公算が高いからだ。webメディア『ボールパーク・ダイジェスト』のケビン・リーチャートは、「ロサンゼルスを出ても、放映権契約は現在の10分の1にしかならないだろう」と予測。「最大の収益を維持するためには既存の市場にとどまるのが一番いい」としている。
経済誌『フォーブス』にMLBのビジネスに関するコラムを寄稿しているモーリー・ブラウンも、リーチャートの見解に同意した上で、そこからさらに一歩進んで「エンジェルスはアナハイム市との交渉を有利にするために、移転の可能性をちらつかせることは間違いない」と述べている。
また、アナハイム市議会のホゼ・モレノ議員は、アナハイム市がプロスポーツチームにとって最高の立地であることを強調する。いわく、「ここアナハイムには、年間で2500万人の観光客がやってくる。ホンダ・センター(NHLアナハイム・ダックスの本拠地)がある。ダックスもある。それに、ディズニーランドもある。ここに来たくないと思うチームがあるだろうか」とのことだ。
ただ、エンジェルスが今後もアナハイムにとどまり続けるとしても、球場周辺も含めたエンジェル・スタジアムの再整備問題はいずれ解決しなければならない。1966年にオープンした同球場は、すでにメジャーで4番目に古い球場となっていて、改修を重ねているとはいえ、そろそろ「寿命」を迎えているのは誰の目にも明らかだ。
だからこその再開発計画だっただけに、白紙になったことは球団にとっては痛手であることは間違いない。今後のエンジェルスの決断に注目が集まる。
構成●SLUGGER編集部
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