MLB

「その男、狂犬につき」前代未聞のビンタ事件を起こしたファムは過去にも数々の問題を起こしていた“札付き”だった!<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.05.29

ビンタ事件の実行犯ファムのご尊顔。レイズ時代の19年には20本塁打20盗塁も記録するなど、選手としてはパワーとスピードを兼ね備えた実力派なのだが、性格は……。(C)Getty Images


 現地5月27日、MLBで前代未聞の"暴力事件"が発生した。

 事件が起こったのは、レッズ対ジャイアンツの試合前練習中。レッズの外野手トミー・ファムが、外野でストレッチをしていた対戦相手ジャイアンツのジョク・ピーダーソンに歩み寄って何度か言葉を交わした後、突然ピーダーソンの左頬に平手打ちを見舞った。一部の現地メディアによれば、今年のアカデミー賞授賞式でウィル・スミスが司会のクリス・ロックに見舞ったビンタと似たような一撃だったという。

 信じられないことに、このトラブルの原因は何と「ゲームでの遺恨」だった。ピーダーソンが試合後に語ったところによると、2人が昨年、同じファンタジー・フットボール(NFLの実在の選手を集めて仮想のチームを作り、その成績を競うゲーム)のリーグでプレーしていた際の遺恨があったという。具体的には、ファムがピーダーソンのチーム運営に「ルール違反じゃないのか?」とクレームをつけたのに対し、ピーダーソンが公式ルールのスクリーンショットを添付して「違反じゃない」と反論したのをきっかけに言い争いになった、というものだ。

 一方のファムは、口論の最中に「ピーダーソンが、昨年パドレスが大型補強をしたにもかかわらずプレーオフに進出できなかったことを揶揄した」と主張。ピーダーソンもこれを認めている。
 
 まるで高校生のような諍いだが、ファムならさもありなんと思えてくる。何せ彼は以前から血の気が多いことで有名で、過去にも数多くトラブルを起こしているからだ。

 代表的な事件が、パドレスに在籍していた2020年オフに起こった傷害事件だ。10月のある夜、サンディエゴ市内の駐車場で、ファムは自分の車の近くにいた男たちに移動するよう求めた。しかし男たちは応じず、口論の末にファムはナイフで腰のあたりを複数回刺され、200針も縫う重傷を負ってしまった。この時は加害者ではなく被害者だったが、ファムの好戦的な性格が事態を悪化させた可能性は否めない。

 昨年は、レッズファンの野次にキレて、「オレの故郷のネバダであんなことを言ったらぶん殴られたって仕方ない。オレはムエタイもカンフーもボクシングもやるんだぜ」と物騒な威嚇をしたこともある。そこまで言っておいて、今季はFAでレッズに入団したのだから、恐れ知らずにもほどがある。