MLB

ダルビッシュの「奪三振」と田中の「制球力」は歴史的な水準――MLB通算1000投球回到達で見えてきた2人の特徴

宇根夏樹

2019.11.19

ダルビッシュ、田中ともに今季MLB通算1000イニングに到達。2人とも、歴史的に見ても際立った特徴を持っている。(C)Getty Images

 今シーズン、ダルビッシュ有(カブス)と田中将大(ヤンキース)は、2人ともメジャー通算1000イニングに到達した。このマイルストーンに到達した投手は多く、実に1000人以上を数える。日本人では、野茂英雄(1976.1イニング)、黒田博樹(1319.0イニング)、大家友和(1070.0イニング)の3人も大台を突破している。興味深いのは、ダルビッシュと田中のスタッツは、1000イニングに到達した投手の中でもそれぞれ際立った特徴を示していることだ。

 ダルビッシュの通算奪三振率11.12は、クリス・セール(レッドソックス)の11.08やランディ・ジョンソンの10.61を凌ぎ、最も高い。これは、他の投手たちの奪三振率が1000イニングを超えてからダウンしているから、ではないようだ。例えば、セールとジョンソンを含め、通算奪三振率10.00以上はダルビッシュ以外に8人いるが、彼らが1000イニングに達した年の通算奪三振率は、いずれもダルビッシュより低い。
 一方、田中の通算K/BB(奪三振と与四球の比率)4.74は、セールの5.37とコリー・クルーバー(インディアンス)の5.00に次いで歴代3位に位置する。ちなみに、ダルビッシュの3.38は35位。黒田も3.38だが、わずかにダルビッシュが上回る。

 ダルビッシュの奪三振率と違って、田中のK/BBは少し分かりにくいかもしれないが、2人のスタッツを比較すると見えてくることがある。ダルビッシュの奪三振率は1位、与四球率3.29は824位。田中の奪三振率8.47は41位、与四球率1.79は50位。両部門でトップ50に入っているのは田中しかいない。