日本野球では、昔から「送りバント」が重要な戦術として位置付けられてきた。近年になって、「送りバントは非効率な戦術である」というセイバーメトリクスに基づいた主張が広まってきてはいるが、今もプロアマ問わず送りバントは多用されている。
だが、海の向こうのMLBでは近年送りバントが激減。昨年、ワールドチャンピオンとなったブレーブスは今季前半戦で一度も犠打を記録しなかった。
ここで、なぜ送りバントが非効率な戦略と考えられるようになったのかを改めて確認しておこう。カギとなるのは「得点期待値」という数字だ。
野球にはアウトカウントと塁状況を掛け合わせた24の状況が存在する。例えば、「無死走者なし」はその24のうちの1つだ。シーズンのプレーを集計していくと、これら24の状況からそれぞれどれくらいの得点が期待できるかを把握できるようになる。2019~21年シーズンのプロ野球において、無死走者なしからイニングが終わるまでには、平均0.45点の得点が記録された。
これを他の状況と比較することで、プレーの価値を測ることができるようになる。例えば、無死一塁の得点期待値は0.84点。無死走者なし(0.45点)と比較すると、0.39点分期待値が上昇している。無死走者なしからシングルヒットが出ると、実際に得点は入っていないが、0.39点分の価値が生じていると考えられるのだ。
この手法で無死一塁からの送りバントについても考えてみよう。無死一塁の得点期待値は0.84点。ここで犠打に成功し、1死二塁となった場合の得点期待値は0.64点。バントが成功したにもかかわらず、得点の見込みは0.20点低下しているのだ。この状況に限った話ではない。送りバントにうってつけの状況に思える無死一二塁でも、1死二三塁となったことで期待値は1.42点から1.32点に低下する。
攻撃の目標は言うまでもなく得点を奪うことだ。それなのに、送りバントをすることでその期待を下げてしまっては意味がない。MLBで送りバントが使われなくなったのは、この考えが広がったからだ。
「打者のレベルによる」と考える人もいるかもしれないが、打率.103以上の打者であれば強攻した方が得点を期待できるという研究結果もある。そうであれば、投手が打席に立つ場合でもない限り、バントは推奨できないということになる。
だが、海の向こうのMLBでは近年送りバントが激減。昨年、ワールドチャンピオンとなったブレーブスは今季前半戦で一度も犠打を記録しなかった。
ここで、なぜ送りバントが非効率な戦略と考えられるようになったのかを改めて確認しておこう。カギとなるのは「得点期待値」という数字だ。
野球にはアウトカウントと塁状況を掛け合わせた24の状況が存在する。例えば、「無死走者なし」はその24のうちの1つだ。シーズンのプレーを集計していくと、これら24の状況からそれぞれどれくらいの得点が期待できるかを把握できるようになる。2019~21年シーズンのプロ野球において、無死走者なしからイニングが終わるまでには、平均0.45点の得点が記録された。
これを他の状況と比較することで、プレーの価値を測ることができるようになる。例えば、無死一塁の得点期待値は0.84点。無死走者なし(0.45点)と比較すると、0.39点分期待値が上昇している。無死走者なしからシングルヒットが出ると、実際に得点は入っていないが、0.39点分の価値が生じていると考えられるのだ。
この手法で無死一塁からの送りバントについても考えてみよう。無死一塁の得点期待値は0.84点。ここで犠打に成功し、1死二塁となった場合の得点期待値は0.64点。バントが成功したにもかかわらず、得点の見込みは0.20点低下しているのだ。この状況に限った話ではない。送りバントにうってつけの状況に思える無死一二塁でも、1死二三塁となったことで期待値は1.42点から1.32点に低下する。
攻撃の目標は言うまでもなく得点を奪うことだ。それなのに、送りバントをすることでその期待を下げてしまっては意味がない。MLBで送りバントが使われなくなったのは、この考えが広がったからだ。
「打者のレベルによる」と考える人もいるかもしれないが、打率.103以上の打者であれば強攻した方が得点を期待できるという研究結果もある。そうであれば、投手が打席に立つ場合でもない限り、バントは推奨できないということになる。
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