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MLB

MLBにあって日本のプロ野球にはない「トレード期限」の娯楽性。大谷移籍の噂で日本でも“エンタメ化”が進む?<SLUGGER>

ナガオ勝司

2022.08.10

若き強打者ソトが移籍するなど、今年もMLBのトレード・デッドラインは大いに盛り上がった。(C)Getty Images

若き強打者ソトが移籍するなど、今年もMLBのトレード・デッドラインは大いに盛り上がった。(C)Getty Images

 メジャーリーグの「トレード期限」は今年も「Entertainment=娯楽」として、球界をとても、とても盛り上げてくれた。

 今年の主役はパドレスで、23歳の次世代スター、ホアン・ソト外野手や強打者のジョッシュ・ベル一塁手、さらに今季21本塁打のブランドン・ドゥルーリー内野手という3人の強打者を一気に補強。その豪快なトレードに、パドレスファンならずとも、胸を躍らせたことだろう。

 AJ・プレラーGMはデッドライン前日の8月1日に、すでにメジャー屈指のクローザー、左腕ジョシュ・ベイダー投手を獲得しており、ナ・リーグ西地区首位のドジャースに13.5ゲームもの大差を付けられた現状を打破し、ワイルドカード争いを優位にするための手をすべて打った形になる。

 トレードの代償として若手の有望株を数多く手放したものの、後悔などないだろう。放出した選手が他球団で主力選手に成長しても、それはそれ。事実、プレラーGMはこう言っている。
「これまでに若い選手を大勢、集めてくれたスカウトの努力は理解しているが、(このトレードの)もっともエキサイティングな部分は、打線を改善するという課題を克服できたということなのです」

 パドレスの他にも、ヤンキースやアストロズ、ブレーブスやマリナーズ、フィリーズなどが「他球団の主力選手」を獲得し、メディアを賑わせた。そして、彼ら上位球団との取引に応じた下位チームは、「他球団の有望株」を獲得したことで未来へ希望をつないだことになる。

 その最も顕著な例が、ナショナルズだった。

 ナショナルズは過去数年、すでに「チーム再建モード」に入っていた。19年に前身のモントリオール・エクスポズ時代を含めて初のワールドシリーズ優勝を果たしたものの、同年の選手の年俸総額は球団史上初めて2億ドルを突破。年俸削減が直近の課題だった。

 最初にその対象となったのは、19年に打点王を獲得して世界一に大きく貢献したアンソニー・レンドーン三塁手だった。

 レンドーンがフリー・エージェント(FA)になった19年オフ、ナショナルズは、同時期にFAになったスティーブン・ストラスバーグとの二者択一を迫られ、再契約を諦めた。結果的にレンドーンはエンジェルスと7年2億4500万ドルの超大型契約を交わし、ナショナルズはストラスバーグとほぼ同じ契約内容で再契約した。
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