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ブレーブスの新たな囲い込みに見る、エンジェルスの“コスパ”の悪さ。根本的に異なるチーム作りのセンスの違い

THE DIGEST編集部

2022.08.18

新人ハリス2世(右上)が8年の契約延長を締結。ブレーブスは他にもコアとなるライリー、アクーニャJr.、オルソン(左上から反時計回り)とも長期契約しているが、この戦略の“コスパ”の良さは、あのチームと実に対照的なものになっている。(C)Getty Images

 現地時間8月16日、アトランタ・ブレーブスは21歳外野手のマイケル・ハリス2世と8年7200万ドル(約97億円)で延長契約を結んだことを発表した。2031年と32年にも球団オプションがついており、すべて行使されれば10年総額1億200万ドル(約137億円)となる。

 19年ドラフト3巡目(全体98位)でブレーブスに入団したハリス2世は、MLB.comが今春に発表した有望株ランキングで全体65位に位置づけられたトップ・プロスペクト。開幕は2Aで迎えたが、5月28日に3Aを飛び級してメジャーに昇格すると、70試合で打率.292、12本塁打、OPS.838、13盗塁をマーク。センターでも好守を連発し、一時不振だったチームの浮上に大きく貢献している。



 ブレーブスは今年3月にトレードで獲得したマット・オルソンと8年1億6300万ドル(約193億円)、8月には大型三塁手のオースティン・ライリーと10年2億1200万ドル(約286億円)で契約延長を結んでおり、また新たに"囲い込み"に成功した形だ。そして、野手のコアプレーヤーの契約状況をまとめると以下のようになる。
 
<ブレーブス主力野手の契約状況>
●捕手:ウィリアム・コントレラス(24)→2年目
●一塁:マット・オルソン(28)→2030年まで保有可(8年1億6800万ドル)
●二塁:オジー・アルビーズ(25)→2027年まで保有可(7年3500万ドル)
●三塁:オースティン・ライリー(25)→2033年まで保有可(10年2億1200万ドル)
●遊撃:ダンズビー・スワンソン(28)→今オフFA
●左翼:-
●中堅:マイケル・ハリス2世(21)→2032年まで保有可(8年7200万ドル)
●右翼:ロナルド・アクーニャJr.(24)→2028年まで保有可(8年1億ドル)
●DH:マーセル・オズーナ(31)→2025年まで保有可(4年6500万ドル)

 今オフFAとなるスワンソンの遊撃、絶対的選手不在の左翼以外の8ポジションはすでに長期契約下に置かれている。FAで再契約したオズーナこそ割高の感はあるが、他の選手はいずれも年俸調停権取得前後に延長契約をまとめているので、かなりリーズナブルな額に収まっているのもポイント。特にアルビーズが結んだ7年3500万ドルの契約は、一部メディアから「奴隷契約」と呼ばれるほどブレーブスにとって優位なものになっている。

 さらに主力投手にも目を向けると、エース左腕のマックス・フリードは2024年、若手右腕のカイル・ライトは2026年、今季の新人王候補スペンサー・ストライダーも2027年と、先発投手陣もかなり先まで安泰の状況にある。そして彼らもまた年俸が安いとあり、ブレーブスがなぜ常勝軍団になり得るのかと言えば、こうした育成と編成の上手さが一つ挙げられるだろう。
 
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