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MLB

イチローからロドリゲスへ目に見えないバトンが渡された日。マリナーズ「新時代」到来を告げる号砲が鳴り響いた<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.08.28

球団殿堂入りセレモニーでイチローに花束を手渡したのは愛弟子のロドリゲスだった。(C)Getty Images

球団殿堂入りセレモニーでイチローに花束を手渡したのは愛弟子のロドリゲスだった。(C)Getty Images

 まるで計ったような最高のタイミングだった。

 現地時間8月26日、マリナーズは今年4月にメジャーデビューを果たしたばかりのフリオ・ロドリゲスと12年2億1000万ドルの超大型契約を交わしたと発表した。

 走攻守を兼ね備え、新人王有力候補に挙げられている21歳のドミニカンが結んだ今回の契約は、何から何まで異例尽くしだ。

「12年2億1000万ドル」という数字はあくまで最低保証で、29年以降はさまざまな形でオプションがつく。たとえば、22~28年にMVP投票で10位以内に入ったシーズンが2回あれば8年2億4000万ドル、MVP2度受賞もしくはトップ5以内が4回あれば3億5000万ドルといった具合だ。

 要するに、ロドリゲスが活躍すればするほど金額が上がっていく仕組みで、最大で18年4億7000万ドルという、年数も金額も史上他に類を見ない規模のメガディールとなる可能性を秘めている。
 
 今回の契約は、マリナーズの球団史的にも非常に大きな意味を持っている。というのもこのチームはかつて、ケン・グリフィーJr.、ランディ・ジョンソン、アレックス・ロドリゲスといった生え抜きのスーパースターを引き留められず、トレードやFAで流出を許してきた悲しい歴史を持つからだ。

 球界最高級のタレントの長期契約に成功し、1977年の球団創設以来の悲願であるリーグ優勝、そしてワールドチャンピオン獲得がまだ一歩近づいた――シアトルのファンが歓喜するのも当然だ。

 27日に本拠地T-モバイル・パークで行なわれた記者会見でロドリゲスは、スコット・サーバイス監督に加えてミッチ・ハニガー、タイ・フランスらマリナーズの主力選手も見守るなか、「この街のために、ファンのために勝ちたい」と力強く語った。
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