ワイルドカードを目指して戦うチームから、突然“名将”が離脱した。現地時間8月31日、ホワイトソックスはロイヤルズ戦を前にトニー・ラルーサ監督の無期限離脱を発表した。前日夜に心臓の検査を受けたところ、医師から休養を勧められたためだ。
31日の試合に欠場したラルーサは、そのままアリゾナ州フェニックスへ飛び、さらなる精密検査を受診したという。不在の間はベンチコーチのミゲル・カイロが指揮を執るが、米紙『USA TODAY』のボブ・ナイチンゲール記者は、「今季中に戻ってこられるかは分からない」と伝えている。
監督としてMLB歴代2位の通算2885勝を挙げ、すでに殿堂入りも果たしている史上屈指の“名将”ラルーサは、同時に“老将”でもある。77歳はMLBの現役監督では最年長。日本プロ野球の史上最高齢記録が74歳(2008年・楽天の野村克也監督)だから、本来はすでに第一線を退いて、楽隠居していてもおかしくない歳だ。
実際、今季はいかにも年齢を感じさせる一幕があった。8月1日のロイヤルズ戦の初回、テレビカメラがベンチで試合を見つめるラルーサをアップで映した。すると、ラルーサはいかにも眠たそうにまぶたを振るわせた後、一瞬寝てしまったかのようにがくんと首を落としたのだ。
その様子は、縁側で日向ぼっこをしている老人そのものだったが、メジャーリーグの指揮官が試合中に居眠りしていたとなれば当然、大問題。あまりに緊張感のないこの映像は即座にSNSで拡散され、「まだ2回にも入ってないんだぞ!」「球団はこの年寄りを何とかしてくれ!」とファンから怒りのコメントが殺到した。しかもホワイトソックスはこの試合に敗れたため、ラルーサにはさらに批判が集まった。
首をかしげたくなる“迷采配”もあった。6月9日に行われたドジャース戦の6回、2死一塁でホワイトソックスの3番手ベネット・スーザがトレイ・ターナーを2ストライクと追い込んだ。だが、3球目がワイルドピッチとなり、一塁走者が二塁に進んだところで、ラルーサは何と申告敬遠を選択。次打者のマックス・マンシーが左腕に弱いことが理由だったが、何とマンシーが3ランを放って完全に裏目。ホワイトソックスは9対11と敗れ、ここでもラルーサはファンや記者から集中砲火を浴びた。
プレーオフ戦線にはかろうじてとどまっているとはいえ、勝率5割を行ったり来たりしているホワイトソックスの戦いぶりに、ファンの不満も募る一方。本拠地ギャランティード・レイト・フィールドで“Fire Tony!(トニーをクビにしろ!)”コールが起こったこともあった。
そんななかでのチーム離脱。「健康上の理由」というのはあくまで建前で、実際は退任への肩たたきだったのではないかといぶかしむファンも少なくない。もしこのまま退任することになれば、2度と指揮を執ることはできないだろう。球史に残る“名将”のキャリア幕引きとしては、あまりにも寂しい気がしてならない。
構成●SLUGGER編集部
31日の試合に欠場したラルーサは、そのままアリゾナ州フェニックスへ飛び、さらなる精密検査を受診したという。不在の間はベンチコーチのミゲル・カイロが指揮を執るが、米紙『USA TODAY』のボブ・ナイチンゲール記者は、「今季中に戻ってこられるかは分からない」と伝えている。
監督としてMLB歴代2位の通算2885勝を挙げ、すでに殿堂入りも果たしている史上屈指の“名将”ラルーサは、同時に“老将”でもある。77歳はMLBの現役監督では最年長。日本プロ野球の史上最高齢記録が74歳(2008年・楽天の野村克也監督)だから、本来はすでに第一線を退いて、楽隠居していてもおかしくない歳だ。
実際、今季はいかにも年齢を感じさせる一幕があった。8月1日のロイヤルズ戦の初回、テレビカメラがベンチで試合を見つめるラルーサをアップで映した。すると、ラルーサはいかにも眠たそうにまぶたを振るわせた後、一瞬寝てしまったかのようにがくんと首を落としたのだ。
その様子は、縁側で日向ぼっこをしている老人そのものだったが、メジャーリーグの指揮官が試合中に居眠りしていたとなれば当然、大問題。あまりに緊張感のないこの映像は即座にSNSで拡散され、「まだ2回にも入ってないんだぞ!」「球団はこの年寄りを何とかしてくれ!」とファンから怒りのコメントが殺到した。しかもホワイトソックスはこの試合に敗れたため、ラルーサにはさらに批判が集まった。
首をかしげたくなる“迷采配”もあった。6月9日に行われたドジャース戦の6回、2死一塁でホワイトソックスの3番手ベネット・スーザがトレイ・ターナーを2ストライクと追い込んだ。だが、3球目がワイルドピッチとなり、一塁走者が二塁に進んだところで、ラルーサは何と申告敬遠を選択。次打者のマックス・マンシーが左腕に弱いことが理由だったが、何とマンシーが3ランを放って完全に裏目。ホワイトソックスは9対11と敗れ、ここでもラルーサはファンや記者から集中砲火を浴びた。
プレーオフ戦線にはかろうじてとどまっているとはいえ、勝率5割を行ったり来たりしているホワイトソックスの戦いぶりに、ファンの不満も募る一方。本拠地ギャランティード・レイト・フィールドで“Fire Tony!(トニーをクビにしろ!)”コールが起こったこともあった。
そんななかでのチーム離脱。「健康上の理由」というのはあくまで建前で、実際は退任への肩たたきだったのではないかといぶかしむファンも少なくない。もしこのまま退任することになれば、2度と指揮を執ることはできないだろう。球史に残る“名将”のキャリア幕引きとしては、あまりにも寂しい気がしてならない。
構成●SLUGGER編集部
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