プロ野球

“ハマの切り込み隊長”・桑原将志が目指す「出塁」の理想形。三浦監督も寄せる1番打者への期待

萩原孝弘

2022.09.05

DeNAのリードオフに再び返り咲いた桑原。持ち前の積極性を維持しながらいかに出塁するのか。そのテーマへの彼なりの答えとは。写真:滝川敏之(THE DIGEST)

 新型コロナの影響もあって、スタートダッシュに出遅れたDeNA。昨年リードオフとして打率.310と再ブレイクを果たした桑原将志も罹患し、4月7日から約20日間戦列を離れた。復帰した5月も昨年の勢いは影を潜め、打率.188と低迷。チームも借金を背負い、5位から抜け出せない状況が続いた。

 気温も上がってきた交流戦は下位打線に入って打率は.281と復調気配。6月は.333と夏男らしくバットの調子は一気に上向くとともに、チームの戦いの内容もグッと引き締まってきた。そして、7月からは本来のトップバッターか2番でのスタメン起用が定着。チームも一時は借金返済するなど上昇気流に乗り、8月はご存知の通り驚異のペースで勝利を積み上げ、9月1日には貯金10と快進撃を見せた。

 このように桑原は尻上がりでバットも振れてきているが、出塁率も見逃せないポイントだ。4日の試合を終えて、トータルの打率は.258にとどまっているが、出塁率はリーグ14位の.331と及第点の数字。6月は出塁率.400、7月が.341、8月も.346と、桑原の出塁とチームの上昇がしっかり連動している。

【動画】切り込み隊長・桑原が均衡を破るグランドスラム! 
 
"ハマの切り込み隊長"は「もちろん、フォアボールで僕が塁に出るってことは、役割として求めらているので大事なことだと思います」と出塁の重要性を力説。しかし同時に、「フォアボールを選びに行くという前提でやってしまうと、自分の良さも消えてしまうと思うんで、自分のスウィングができる球が来たらスウィングして行きたい」として、積極性を維持しつつボールを見極めることが大事だとも語った。

 そのために、「打席内で1球1球、集中していけばフォアボールは増えてくると思います。積極性と見極めの両方ができないといけない」と、切り込み隊長の矜持を示した。

 三浦大輔監督も「打ちに行って空振りしても、その後、粘れていることもあります。打席の中で1球1球切り替えができていることが、そこ(出塁)につながっていると思います」と分析。「チームが勝つためにクワ(桑原)が1番でやってくれることが一番だと思います。今のを続けていってくれれば」と大きな期待を寄せていた。

 連勝中は決勝満塁ホームランなど派手な仕事もこなした一方で、三浦監督からも「よく選んでくれた」と評された、8月27日ヤクルト戦、大差で負けている9回2アウトからフォアボールもぎ取る姿勢も持ち合わせる。

 また、うさぎのぬいぐるみをベンチに持ち込むなど、モチベーターとしての役割も果たす"ハマのガッツマン"は、奇跡の逆転優勝に向けてチームに勢いをつける。

取材・文●萩原孝弘

【関連記事】"世界の王"、"ゴジラ松井"、そして"怪童"中西と徹底比較!検証:「村神様は"史上最強の高卒5年目打者"なのか?」

【関連記事】"王超え"も狙える村上宗隆。米メディアも愕然とさせる10冠スラッガーはいつMLBに?「間違いなくNPBで最高のバッターだ」
NEXT
PAGE
【動画】切り込み隊長・桑原が均衡を破るグランドスラム!