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大谷翔平の異能さに“麻痺”? 米記者が指摘するMVP争いで生まれた歴史的価値「これは普通じゃないんだ」

THE DIGEST編集部

2022.10.01

ジャッジとのMVP争いが白熱するなかで、二刀流の真価を発揮している大谷。その活躍ぶりは色褪せない。(C)Getty Images

 メジャーリーグのレギュラーシーズンが佳境を迎えているなかで、二刀流の偉才は飛び切りのポテンシャルを発揮した。現地時間9月29日に行なわれたオークランド・アスレティックス戦で、8回2死までノーヒットノーランを続けた大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)だ。

 8回2死の局面で大谷がコナー・カペルに内野安打を打たれ、快挙が幻と消えたのは周知の通りだ。しかし、この試合における彼の活躍は球史に残るものだったと言っていい。なにせ、2つの記録に並んでいる。

 まず、今季10度目の2桁奪三振(10個)を記録した大谷はノーラン・ライアンとフランク・タナカに並ぶ球団史上3人目の快挙を達成。さらに1985年にドワイト・グッデンが記録して以来史上最多タイとなる4試合連続での「2桁奪三振&マルチ安打」もマークしたのである。

 おそらく7回終了時点で多くのファンが脳裏に描いたであろう「ノーヒットノーラン達成でW規定クリア」というシナリオは未遂に終わった。それでも「誰もがやり遂げると思ったはずだ」とチームメイトであるマイク・トラウトが指摘した通り、大谷が米球界に小さくない娯楽を提供したのは間違いない。

 夏場以降で巷を賑わせてきたMVP論争にも影響をもたらしている。すでにア・リーグ記録に並ぶ61本塁打を放っているアーロン・ジャッジを称える声は依然として大きく、この名門ニューヨーク・ヤンキースを支える怪物スラッガーが優位とする意見は日々繰り返されている。
 
 たしかに"飛ばないボール"が導入され、球界全体で打低傾向となっている今季の米球界を考えれば、61本塁打を放ち、三冠王も目前とする打棒は凄まじい。だが、数多のレジェンドたちの名を呼び覚まし、「投打両方での規定到達」という史上初の大記録にも肉薄するサムライの"歴史的価値"を強調する人々もまた少なくないのである。

 それを物語るように、米放送局『CBS』のダニー・ヴィエッティ記者は、こう自身のツイッターで持論を発信している。

「オオタニの活躍を評する言葉に麻痺してはいけない。これは普通じゃないんだ」

 現時点では大谷とジャッジのどちらがMVPをとっても不思議ではない。そして、最終的にいかなる結果になろうとも「普通じゃない」活躍を続ける二刀流戦士が怪物スラッガーと繰り広げる争いは、間違いなく球史に語り継がれるはずだ。

構成●THE DIGEST編集部

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