プロ野球

【2022ドラフト展望│楽天】右の強打者・森下指名で左中心の打線にスパイスを。金村など即戦力投手も補強ポイント<SLUGGER>

やまけん

2022.10.12

石井GM兼監督も高評価を与えている金村。場合によっては1位指名もありそうだ。写真:THE DIGEST写真部

 10月20日に行われるプロ野球ドラフト会議。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。今回は楽天だ。

【表】楽天 ポジション別年齢分布

【指名方針】
即戦力重視

【補強ポイント】
・3年後のレギュラー定着を狙えるスラッガー
・早い段階から一軍で勝負できる先発投手
・守備力に秀でたショート

 今季の楽天は最大18もの貯金を積み上げたものの、夏場以降に急激に失速し、最終的に借金2の4位でシーズンを終える屈辱を味わった。石井一久GM兼監督の下、近年は積極的な補強でチーム強化を図っているが、来季こそ結果が求められるシーズンになりそうだ。一方で、強いチームであり続けるためには世代交代も欠かせない。今年のドラフトでは現有戦力を底上げしつつ、将来のチームの柱となる選手を指名したい。

 リーグ2位の533得点を記録した打線は、3番・浅村栄斗、4番・島内宏明を中心に切れ目がなく、相手にとって脅威。その中で、石井GM就任後にドラフト1位指名した辰己涼介、小深田大翔もレギュラーの座をつかみ、戦力となっている。今年も野手の有望株を積極的に確保することで数年後につながるのではないか。

 オススメなのが、森下翔太(中央大)だ。東都大学リーグ通算8本塁打を記録する力強いスイングが持ち味で、島内、小深田、鈴木大地ら左の巧打者が並ぶ打線にスパイスを与えてくれそうな右のスラッガー。昨年も1位で高校生外野手の吉野創士を指名したが、戦力化にはもう少し時間を要すると予想されることから、守備・走塁も一定の能力がある森下で一軍野手陣の底上げを図りたい。
 田中将大、岸孝之、則本昂大ら錚々たるメンバーが名を連ねる先発投手陣も、年齢を考慮すると楽観はできない。金村尚真(富士大)や増居翔太(慶応大)といった完成度の高い大学生投手を指名し、数年単位で徐々に世代交代を促したい。

 金村は正確無比な制球力で直球やカットボールをコーナーに投げ込む右腕。左腕の増居は春のリーグ戦ではやや不調だったものの、今秋は本来のボールのキレを取り戻しつつある。今季ファームで好成績を残した高田孝一や松井友飛らとともに、高齢化が進む投手陣に刺激を与えてくれそうな貴重な存在だ。

 12球団トップの守備率.991を記録した守備陣だが、主にショートを守った小深田は送球に不安を抱えており、試合でもエラーに記録されないミスが散見された。アマチュア球界屈指の守備力を誇る和田佳大(トヨタ自動車)のような遊撃手を指名することで小深田を他のポジションに回し、打撃を活かすという選択肢も十分に検討の余地があるだろう。

【理想の指名】
1位:森下翔太(外野手/中央大)
2位:金村尚真(投手/富士大)
3位:和田佳大(遊撃手/トヨタ自動車)

文●やまけん

【著者プロフィール】
1999年生まれ、千葉県出身。「一人でも多くのアマチュア野球選手がスポットライトを浴びてほしい」という思いから、関東を中心に全国のアマチュア野球の試合を年間約150試合を球場で観戦するアマチュア野球観戦者。Twitter→@yam_ak_en