11月19日、2020年の殿堂入り候補者が発表された。前年から引き続いて対象となる14人に加えて、新たに18人がリスト入りし、計32人が投票にかけられることとなる。
2019年はマリアーノ・リベラが史上初の満票で選出されたのをはじめ、ロイ・ハラデイ(故人)、マイク・ムシーナ、エドガー・マルティネスの4人が選出されたが、今回の投票対象者にも注目すべき人物はたくさんいる。そのうち3つの着眼点に絞って、殿堂入り投票を展望してみることにしよう。
①ジーターは得票率100%で殿堂入りできるか?
18人の新たな投票対象者のうち、一番の注目は当然デレク・ジーターだ。ヤンキース史上有数のスーパースターで、5度の世界一に貢献した“ミスター・ノベンバー”は、通算3465安打の実績や、ステロイド時代にあってクリーンなプレースタイルを貫いたという点も含め、1年目での殿堂入りは確実だ。問題は、前回のリベラに続く“得票率100%”で殿堂入りできるかどうか、だ。
リベラ自身は「得票率1000%で殿堂入りだよ」と答えるなど、ジーターの満票を確信しているようだ。確かにジーターは、リベラやホーヘイ・ポサーダ、アンディ・ペティットと形成したヤンキースの“コア・フォー”の中でも最大のスターだった。リベラと同等の支持を受ける可能性は大いにある。
ちなみにリベラ以前は、あのケン・グリフィーJr.ですら満票での殿堂入りはできなかった。投票者440人のうち3人が投票せず、得票率99.3%に留まっている。逆説的ではあるが、リベラが満票の壁を破ったことで、かえってジーターの得票率100%の可能性は高まったと言えるだろう。
②ラリー・ウォーカーは「ラストチャンス」を生かせるか?
ラリー・ウォーカーは今回が投票10年目の“ラストチャンス”。ここで選出されなければ来年の候補からは外されてしまう。昨年は殿堂入りに必要な75%に20%以上も足りず落選してしまったが、アメリカでは「彼は過小評価されているのではないか」という声が高まっている。
キャリアの半分以上を打者有利のクアーズ・フィールドを本拠地とするロッキーズで過ごしたことがマイナスに働いているようだが、全盛期のウォーカーは圧倒的な打棒に加えて足も速く、また守備も卓越した5ツール・プレーヤーだった。打撃だけでなく走塁や守備も含めて「控え選手に比べてどれだけチームに勝利をもたらしたか」を示す指標WAR(Baseball Reference版)で、ウォーカーは72.7で歴代86位にランクインしている。実はこの数値は、ジーター(72.4で88位)とほぼ同じなのだ。にもかかわらず、かたや「10年目でやっと殿堂入りできるかどうか」、かたや「1年目で満票もありうる」とされているのは、やはり違和感がある。
多くの投票者もウォーカーを再評価しているのか、34.1%だった18年から、前回は54.6%と大幅に得票率が伸びた。20.5%も得票率が増えるのは史上9番目に大きい伸び率だったが、殿堂入りするためには今年も同じくらい得票率を伸ばさなければいけない。果たしてウォーカーは実績に見合った評価を受けられるだろうか?
2019年はマリアーノ・リベラが史上初の満票で選出されたのをはじめ、ロイ・ハラデイ(故人)、マイク・ムシーナ、エドガー・マルティネスの4人が選出されたが、今回の投票対象者にも注目すべき人物はたくさんいる。そのうち3つの着眼点に絞って、殿堂入り投票を展望してみることにしよう。
①ジーターは得票率100%で殿堂入りできるか?
18人の新たな投票対象者のうち、一番の注目は当然デレク・ジーターだ。ヤンキース史上有数のスーパースターで、5度の世界一に貢献した“ミスター・ノベンバー”は、通算3465安打の実績や、ステロイド時代にあってクリーンなプレースタイルを貫いたという点も含め、1年目での殿堂入りは確実だ。問題は、前回のリベラに続く“得票率100%”で殿堂入りできるかどうか、だ。
リベラ自身は「得票率1000%で殿堂入りだよ」と答えるなど、ジーターの満票を確信しているようだ。確かにジーターは、リベラやホーヘイ・ポサーダ、アンディ・ペティットと形成したヤンキースの“コア・フォー”の中でも最大のスターだった。リベラと同等の支持を受ける可能性は大いにある。
ちなみにリベラ以前は、あのケン・グリフィーJr.ですら満票での殿堂入りはできなかった。投票者440人のうち3人が投票せず、得票率99.3%に留まっている。逆説的ではあるが、リベラが満票の壁を破ったことで、かえってジーターの得票率100%の可能性は高まったと言えるだろう。
②ラリー・ウォーカーは「ラストチャンス」を生かせるか?
ラリー・ウォーカーは今回が投票10年目の“ラストチャンス”。ここで選出されなければ来年の候補からは外されてしまう。昨年は殿堂入りに必要な75%に20%以上も足りず落選してしまったが、アメリカでは「彼は過小評価されているのではないか」という声が高まっている。
キャリアの半分以上を打者有利のクアーズ・フィールドを本拠地とするロッキーズで過ごしたことがマイナスに働いているようだが、全盛期のウォーカーは圧倒的な打棒に加えて足も速く、また守備も卓越した5ツール・プレーヤーだった。打撃だけでなく走塁や守備も含めて「控え選手に比べてどれだけチームに勝利をもたらしたか」を示す指標WAR(Baseball Reference版)で、ウォーカーは72.7で歴代86位にランクインしている。実はこの数値は、ジーター(72.4で88位)とほぼ同じなのだ。にもかかわらず、かたや「10年目でやっと殿堂入りできるかどうか」、かたや「1年目で満票もありうる」とされているのは、やはり違和感がある。
多くの投票者もウォーカーを再評価しているのか、34.1%だった18年から、前回は54.6%と大幅に得票率が伸びた。20.5%も得票率が増えるのは史上9番目に大きい伸び率だったが、殿堂入りするためには今年も同じくらい得票率を伸ばさなければいけない。果たしてウォーカーは実績に見合った評価を受けられるだろうか?