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吉田正尚はあえて単年契約を選ぶべき? ポスティングでMLB移籍をする日本人選手に伝えたい「成功への道」<SLUGGER>

ナガオ勝司

2022.11.24

ポスティングでのMLB移籍を目指す吉田正。マリナーズ、レッドソックスなどが興味を示している。写真:THE DIGEST写真部

 イチローのメジャーデビューからもう20年以上経つが、未だにメジャーリーグ(MLB)における「日本人野手の数=サンプル」は、ドミニカ共和国やベネズエラ、プエルトリコの野手に比べて圧倒的に少ない。

 そういう状況で「日本人野手はMLBで通用しないのか?」などと考えるのはナンセンスで、そもそもその「『通用』の定義とはなんだろう?」と考えてしまう。

 MLB通算3089安打、シーズン262安打のMLB記録保持者であるイチローや、2009年のワールドシリーズMVPに選出された松井秀喜は、誰がどう見たって「通用」したと言えるだろう。だが、2002年にジャイアンツで118試合に出場し、日本人で初めてワールドシリーズに出場した新庄剛志(現北海道日本ハム監督)はどうだろう。05年にホワイトソックスの88年ぶりのワールドシリーズ優勝に2番打者として貢献した井口資仁、06年にカーディナルスの控え外野手としてワールドシリーズ優勝に貢献した田口壮は?

 メッツでは苦戦しながらも、ロッキーズに移って07年のリーグ優勝に1番打者として貢献した松井稼頭央はどうなのか? 12年、ブルワーズで控え外野手の扱いから定位置を獲得し、14年にはロイヤルズのリーグ優勝に貢献した青木宣親は「通用」したと言えるのではないか?
 
 実働期間が長ければ長いほど、それなりの成績も残っているはずで、「通用した」と言いやすいのだろう。だが、実働期間と言っても、2年や3年で十分なのか、5年は必要なのか、と疑問はつきない。そのフラストレーションは今後も続くはずで、今年に日本一になったオリックスの吉田正尚が、ポスティングによるメジャー移籍を実現すると同時に向けられていく「?」マークでもある。

 吉田は小学校の卒業文集に、「将来の夢は大リーガー」と書いていたそうで、日本メディアの既報でこう言っている。

「常に高いところでやりたいのは変わらない。MLBは全世界のトップが集まっている。どんなものか肌で感じてみたい」。

 吉田にとっては、秋山翔吾、筒香嘉智両選手のMLB移籍とその後の経過が参考になるかも知れない。

 ご存知のように、秋山は3年契約を満了することなくレッズを自由契約となり、パドレスとマイナー契約してメジャー復帰を目指したものの叶わず、今夏以降は広島でプレーした。筒香はパイレーツと単年契約を交わして今季に臨んだが、開幕直後の腰痛で調子を崩して自由契約となり、その後、ブルージェイズとマイナー契約したもののメジャー復帰することなくシーズンを終えた。
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