12月9日にプロ野球現役ドラフトが開催される。
各球団が契約保留選手名簿に記載された選手の中から2名以上の対象選手を選択(外国人選手、複数年契約選手、FA資格選手、育成選手などは対象外)する現役ドラフトは、現所属チームでなかなかチャンスをつかめない選手に活躍の場を与えることを目的に行われる。果たして、実際にどんな選手がチームを移ることになるのだろうか。パ・リーグ6球団から2人ずつ候補を選んだ。
――◆―――◆――
【オリックス】
K-鈴木(投手・28歳)
張奕(投手・28歳)
日本シリーズで熱投した“USJ”が話題を集めたが、張やK-鈴木も速球は最速160キロに迫る豪腕。前者は投手転向5年目の今季に一軍15登板で防御率2.38を残し、後者は二軍での21登板でK/BB15.50と格別の内容。スペックの高さに加えて年齢もちょうど脂が乗る時期で、いつ本格化してもおかしくない。とはいえ現チームは救援陣が質量ともに充実しているため、パワーリリーバー不足のチームに活躍の場をを求めたい。
【ソフトバンク】
大竹耕太郎(投手・27歳)
野村大樹(内野手・22歳)
大竹は19年に先発陣の一角を担ったが、直近3年は一軍で6登板のみ。その間は二軍でチーム最多の261.1投球回をこなして防御率2.89と好投しながらなかなかチャンスに恵まれない。野村はプロ4年目の今季、自己最多の31試合に出場した。
二軍では打撃アプローチも改善されてOPS.806の好成績を残したが、同じ右打者のリチャードや野村勇と三塁のポジションが重なり、一塁がメインだった。このままでは一軍での出場機会増は想像しにくいのが現状だ。
【西武】
岸潤一郎(外野手・25歳)
赤上優人(投手・23歳)
走攻守で評価を集める蛭間拓哉がドラフト1位指名で入団し、外野陣が混雑している印象は否めない。岸は昨季9本塁打を放ち、チーム最多63試合でセンターを守った。今季は二軍でも打撃低迷ながら、元投手の肩は健在で内野もこなす汎用性は他球団でも重宝されるのではないか。シーズン中に支配下登録をつかんだ赤上優人は二軍で先発も担い74.1回で防御率3.27の好成績も、一軍の投手陣がそれほど多くのチャンスを与えてくれない。
【楽天】
田中和基(外野手・28歳)
藤平尚真(投手・24歳)
田中は18年に新人王を受賞したが、以降は打撃不振。特に直近2年はともに打率.143以下で、出場は代走や守備固めがメインになった。辰己涼介が不動のセンターとなったこともあり、ここらで環境を変えて持ち前のパンチ力を復活させたい。
16年ドラフト1位の藤平は球速増に加えて変化球を増やし、一軍で1勝、二軍で4勝を挙げて負けなしと結果が好転。ある程度投手陣に目途が立っているチームなら、可能性を買っても面白いのではないか。
【ロッテ】
平沢大河(内野手・24歳)
東妻勇輔(投手・26歳)
今季3年ぶりに開幕スタメン入りした平沢だが、一軍定着ならず。5年間で通算打率1割台に沈んでいるが、それでも、二軍ではいずれリーグベストの打率.278、出塁率.380、OPS.799をマーク。60試合守った遊撃手で15失策と守備に不安もあるが、内野全ポジションを守れるのは強みだ。東妻は一軍で打ち込まれながらも、二軍では40登板で防御率1.07を記録。両者ともファーム卒業の力を示しただけに、出場を確保できる環境に飛び込みたい。
【日本ハム】
清水優心(捕手・26歳)
井口和朋(投手・28歳)
清水は自己最多100試合出場の昨季から、今季は30試合のみにとどまった。宇佐見真吾が台頭し、FAで伏見寅威が加入したことで、チームの構想から外れる可能性は否定できない。
井口は21年に自己最多43試合に登板して11ホールド、防御率1.86の好成績を残したが、今季は一気に5点台へ悪化。若返りを図るチームで放出リストに載ってもおかしくはない。それでも、与四球率1.48、奪三振率9.99いずれも優秀な数字で、巻き返しの可能性は十分あるはずだ。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
各球団が契約保留選手名簿に記載された選手の中から2名以上の対象選手を選択(外国人選手、複数年契約選手、FA資格選手、育成選手などは対象外)する現役ドラフトは、現所属チームでなかなかチャンスをつかめない選手に活躍の場を与えることを目的に行われる。果たして、実際にどんな選手がチームを移ることになるのだろうか。パ・リーグ6球団から2人ずつ候補を選んだ。
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【オリックス】
K-鈴木(投手・28歳)
張奕(投手・28歳)
日本シリーズで熱投した“USJ”が話題を集めたが、張やK-鈴木も速球は最速160キロに迫る豪腕。前者は投手転向5年目の今季に一軍15登板で防御率2.38を残し、後者は二軍での21登板でK/BB15.50と格別の内容。スペックの高さに加えて年齢もちょうど脂が乗る時期で、いつ本格化してもおかしくない。とはいえ現チームは救援陣が質量ともに充実しているため、パワーリリーバー不足のチームに活躍の場をを求めたい。
【ソフトバンク】
大竹耕太郎(投手・27歳)
野村大樹(内野手・22歳)
大竹は19年に先発陣の一角を担ったが、直近3年は一軍で6登板のみ。その間は二軍でチーム最多の261.1投球回をこなして防御率2.89と好投しながらなかなかチャンスに恵まれない。野村はプロ4年目の今季、自己最多の31試合に出場した。
二軍では打撃アプローチも改善されてOPS.806の好成績を残したが、同じ右打者のリチャードや野村勇と三塁のポジションが重なり、一塁がメインだった。このままでは一軍での出場機会増は想像しにくいのが現状だ。
【西武】
岸潤一郎(外野手・25歳)
赤上優人(投手・23歳)
走攻守で評価を集める蛭間拓哉がドラフト1位指名で入団し、外野陣が混雑している印象は否めない。岸は昨季9本塁打を放ち、チーム最多63試合でセンターを守った。今季は二軍でも打撃低迷ながら、元投手の肩は健在で内野もこなす汎用性は他球団でも重宝されるのではないか。シーズン中に支配下登録をつかんだ赤上優人は二軍で先発も担い74.1回で防御率3.27の好成績も、一軍の投手陣がそれほど多くのチャンスを与えてくれない。
【楽天】
田中和基(外野手・28歳)
藤平尚真(投手・24歳)
田中は18年に新人王を受賞したが、以降は打撃不振。特に直近2年はともに打率.143以下で、出場は代走や守備固めがメインになった。辰己涼介が不動のセンターとなったこともあり、ここらで環境を変えて持ち前のパンチ力を復活させたい。
16年ドラフト1位の藤平は球速増に加えて変化球を増やし、一軍で1勝、二軍で4勝を挙げて負けなしと結果が好転。ある程度投手陣に目途が立っているチームなら、可能性を買っても面白いのではないか。
【ロッテ】
平沢大河(内野手・24歳)
東妻勇輔(投手・26歳)
今季3年ぶりに開幕スタメン入りした平沢だが、一軍定着ならず。5年間で通算打率1割台に沈んでいるが、それでも、二軍ではいずれリーグベストの打率.278、出塁率.380、OPS.799をマーク。60試合守った遊撃手で15失策と守備に不安もあるが、内野全ポジションを守れるのは強みだ。東妻は一軍で打ち込まれながらも、二軍では40登板で防御率1.07を記録。両者ともファーム卒業の力を示しただけに、出場を確保できる環境に飛び込みたい。
【日本ハム】
清水優心(捕手・26歳)
井口和朋(投手・28歳)
清水は自己最多100試合出場の昨季から、今季は30試合のみにとどまった。宇佐見真吾が台頭し、FAで伏見寅威が加入したことで、チームの構想から外れる可能性は否定できない。
井口は21年に自己最多43試合に登板して11ホールド、防御率1.86の好成績を残したが、今季は一気に5点台へ悪化。若返りを図るチームで放出リストに載ってもおかしくはない。それでも、与四球率1.48、奪三振率9.99いずれも優秀な数字で、巻き返しの可能性は十分あるはずだ。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
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