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侍ジャパン

ダルビッシュを14年ぶりのWBC出場に駆り立てたものは一体何なのか?改めて蘇る09年決勝の“咆哮”の記憶<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.12.06

09年のWBC決勝では抑えを務め、胴上げ投手にもなったダルビッシュ。23年はどんなピッチングを見せてくれるだろうか。(C)Getty Images

09年のWBC決勝では抑えを務め、胴上げ投手にもなったダルビッシュ。23年はどんなピッチングを見せてくれるだろうか。(C)Getty Images

 12月6日、ダルビッシュ有(パドレス)が自身のツイッターで来年3月に行なわれるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場することを明言した。

 ダルビッシュは侍ジャパンの栗山英樹監督と握手を交わす写真とともに「栗山監督に『来年のWBC出場しなさい』と言われたので出場します」とツイート。すぐさまSNSで大きく広がった。

 これまでの経緯を考えれば、それも無理はない。ダルビッシュは今年7月に、冗談交じりとはいえ「僕はいいでしょう。自分が行っても足引っ張るだけだし……」と発言。11月のGM会議では代理人が「シーズンでたくさん投げたので、身長に考慮している」と語っていただけに、辞退を予想する声も少なくなかった。

 本人や代理人の発言以外にも、出場辞退を予想させる一つの根拠があった。それは、来季が6年1億2600万ドルの契約最終年であるということだ。FAを控えた大事な年だけに、WBCを欠場してレギュラーシーズンに集中したいと考える選手は決して少なくない。

 事実、現時点で出場を明言しているアメリカ代表のメンバーに、来年がFAイヤーの選手は、ベテラン右腕のアダム・ウェインライト(カーディナルス)と遊撃手のティム・アンダーソン(ホワイトソックス)くらいしかいない。しかも、前者はすでに23年限りでの現役引退を明言。後者も24年の契約が球団オプションとなっており、厳密な意味ではFAイヤーとは言えない部分もある。
 
 こうした事情も含めて考えても、ダルビッシュのWBC出場宣言が大きな意味を持っていることが分かるだろう。そしてそれは、「栗山監督に言われたので」といういかにも彼らしい言い回しとは対照的に、本人が今回のWBCに並々ならぬ熱意を抱いていることも意味するのではないか。

 ダルビッシュとWBCといえば、誰もが思い浮かべるのは09年決勝の韓国戦だ。3対2で迎えた9回裏にマウンドに上がったダルビッシュは、2死一、二塁からのちに日本でも活躍するイ・ボムホにレフトへ同点打を浴びてしまう。だが、日本は延長10回にイチローのタイムリーで2点を勝ち越し。その裏、ダルビッシュは韓国の反撃を断って“胴上げ投手”となった。

 最後の打者を大きく曲がるスライダーで三振に斬って取った瞬間、両手を力強く握りしめながら一度大きくしゃがみ込むように身体を倒し、そこから上体を起こして勝利の雄叫びを上げたダルビッシュの姿は、今も多くのファンの脳裏に焼きついている。

 その後、12年に渡米し、今季までメジャーで11年間プレーしてきたダルビッシュだが、ワールドシリーズ優勝はまだ経験がない。ドジャース時代の17年には、ワールドシリーズ第7戦で先発マウンドに立ちながらアストロズにKOされ、LAのファンからバッシングを浴びたこともあった。今季も、レギュラーシーズンで16勝を挙げ、ポストシーズンでも4先発で防御率2.88と好投しながらリーグ優勝決定シリーズで涙を呑んだ。

 ワールドチャンピオンとWBCでの優勝は必ずしもイコールではない。。それでも、「もう一度頂点に立ちたい」「09年の興奮をもう一度味わいたい」――そんな思いが、ダルビッシュを今回の出場に駆り立てたのではないだろうか。

 09年のWBC当時、ダルビッシュはまだ22歳。あれから10年以上の歳月が流れた。当時とと比べて円熟味を増した一方で、36歳になっても力で相手をねじ伏せる投球も健在。投手として一回りも二回りも成長したダルビッシュが14年ぶりの舞台でどんな投球を見せてくれるのか。今から楽しみだ。

構成●SLUGGER編集部

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