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予想を超える「狂気」の大型契約が続々成立! MLBのFA市場が空前のバブルに沸く「理由」<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.12.20

ジャッジ(中央)、コレア(右)、ボガーツ(左)と大型契約が連発したこのオフ。なぜこれほどの“バブル景気”になったのだろうか。(C)Getty Images

 MLBのFA(フリーエージェント)市場は今、空前のバブルに沸いている。トップ選手たちがが次々と、事前の予想を超える大型契約を手にしているのだ。代表的な選手をまとめると、以下のようになる(予想契約額は「MLB Trade Rumors」によるもの)。

▼アーロン・ジャッジ(OF)
・ヤンキース→ヤンキース
・予想契約額:8年3億3200万ドル
・実際の契約額:9年3億6000万ドル

▼カルロス・コレア(SS)
・ツインズ→ジャイアンツ
・予想契約額:9年2億8800万ドル
・実際の契約額:13年3億5000万ドル

▼トレイ・ターナー(SS)
・ドジャース→フィリーズ
・予想契約額:8年2億6800万ドル
・実際の契約額:11年3億ドル

▼ザンダー・ボガーツ(SS)
・レッドソックス→パドレス
・予想契約額:7年1億8900万ドル
・実際の契約額:11年2億8000万ドル

▼ダンスビー・スワンソン(SS)
・ブレーブス→カブス
・予想契約額:7年1億5400万ドル
・実際の契約額:7年1億7700万ドル

▼カルロス・ロドン
・ジャイアンツ→ヤンキース
・予想契約額:5年1億4000万ドル
・実際の契約額:6年1億6200万ドル

▼ジェイコブ・デグロム(SP)
・メッツ→レンジャーズ
・予想契約額:3年1億3500万ドル
・実際の契約額:5年1億8500万ドル

▼ブランドン・ニモ(OF)
・メッツ→メッツ
・予想契約額:5年1億1000万ドル
・実際の契約額:8年1億6200万ドル
 
 一覧して分かるように、いずれも予想を大きく上回るビッグディールを締結している。ジャッジがヤンキースと結んだ9年3億6000万ドルは、FA契約では史上最高額。それに次ぐのがコレアの13年3億5000万ドル。ターナーも6位タイ、ボガーツも8位にランクインした。文字通り歴史的な契約が連発された現状を、米メディア『The Athletic』のジェイソン・スタークは、ある球団の幹部の発言を引用して「狂気だ」と表現している。

 特に先発投手の市場は大きく相場が高騰しており、今季わずか13.1イニングしか投げていないマシュー・ボイドにすら1年1000万ドルの契約が与えられたほど。なぜ今オフのFA市場は、これほどの"狂乱物価"となったのか。同じく『The Athletic』のケン・ローゼンタール記者は、市場に作用した力として、以下の5つの要因を挙げている。

1:新労使協定締結以来、初の完全なオフシーズンであること

 1994~95年のストライキ以来の大型労使闘争となったロックアウトを経て、今年3月に新たな労使協定が結ばれた。ローゼンタールによれば、オーナー側は労使対立の後、選手側との関係を修復するために、しばしば大型契約を結ぶことが多い。今回もこのパターンを踏襲しているようだ。

2:コロナ禍による減収から回復しつつあること

 ロブ・マンフレッド・コミッショナーによれば、今季のMLB全体の収益は110億ドル近くになるという。これは、コロナ禍前の2019年(107億ドル)をも超える規模。増収がFA市場の好景気にも影響しているようだ。
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