「MLBから資格をもらえなかった。なんとか解決策が見つかるといいんだけど、現時点で僕は代表資格が認められていない。だから、すごく落ち込んでいるよ」
来る3月に幕が開けるワールド・ベースボール・クラシックの出場に向け、並々ならぬ想いを漏らしたのは、クリーブランド・ガーディアンズの外野手スティーブン・クワンだ。父は中国系アメリカ人、母は日系アメリカ人(祖父母は山形出身)というアジア由来の出自である25歳は、すでに内定となったラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)とともに3大会ぶりの世界制覇を目指す日本代表入りが囁かれていた。
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これまで外国籍選手の招集は行なってこなかった日本代表。そのなかでクワンは資格を得るだけの実力をメジャーで披露してきた。
ルーキーイヤーとなった昨季には、1901年以降では初の「デビューからの4試合で15出塁」という快挙を達成。さらに初打席から129球目連続空振りなしというずば抜けたバットコントロールも見せつけた。日本ハムを指揮した時代から“繋ぎの野球”を追求してきた栗山英樹監督のチームにあって、日本が世界に誇る天才打者・イチローを「心の師」とする巧打者がいかなる化学反応を起こすかは実に興味深いものがあった。
しかし、代表入りは冒頭の本人のコメントにもあるように、叶わない可能性が高まっている。米メディア『Nichibei』によれば、クワンは9月に大谷翔平からの勧誘を受けたものの、11月に出場資格に関する問題(両親の有するパスポートに関するものと見られている)が判明。出場は限りなく困難なものになってしまったという。
彼が自らのルーツとなる日本での代表入りに意欲を示したのは、自身の名声を高めたいからというだけではない。『Nichibei』の取材で「野球は明らかに白人が優位にあるスポーツだ」と持論を口にしたクワンは、アジア系アメリカ人としての考えを主張している。
「僕が子どもの頃からアジア人で優秀な野球選手はたくさんいる。だけど、彼らは周囲からサポートが得られなかったりして、その多くが消えてしまっていたんだ。でも、今は少しずつショウヘイ・オオタニはもちろん、僕なんかが活躍する場が与えられている。そんな風に野球が発展していくのは素晴らしいことだと思う。だから、僕は今回のWBCに出て、その一翼を担いたかったんだ」
もしも、クワンが侍ジャパンの一員となったなら、どれだけの貢献をしてくれただろうか。もちろんルールはルールであり、“タラレバ”を言っても仕方がないのだが、本人の言葉を訊くと、そう思わずにはいられない。
構成●THE DIGEST編集部
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これまで外国籍選手の招集は行なってこなかった日本代表。そのなかでクワンは資格を得るだけの実力をメジャーで披露してきた。
ルーキーイヤーとなった昨季には、1901年以降では初の「デビューからの4試合で15出塁」という快挙を達成。さらに初打席から129球目連続空振りなしというずば抜けたバットコントロールも見せつけた。日本ハムを指揮した時代から“繋ぎの野球”を追求してきた栗山英樹監督のチームにあって、日本が世界に誇る天才打者・イチローを「心の師」とする巧打者がいかなる化学反応を起こすかは実に興味深いものがあった。
しかし、代表入りは冒頭の本人のコメントにもあるように、叶わない可能性が高まっている。米メディア『Nichibei』によれば、クワンは9月に大谷翔平からの勧誘を受けたものの、11月に出場資格に関する問題(両親の有するパスポートに関するものと見られている)が判明。出場は限りなく困難なものになってしまったという。
彼が自らのルーツとなる日本での代表入りに意欲を示したのは、自身の名声を高めたいからというだけではない。『Nichibei』の取材で「野球は明らかに白人が優位にあるスポーツだ」と持論を口にしたクワンは、アジア系アメリカ人としての考えを主張している。
「僕が子どもの頃からアジア人で優秀な野球選手はたくさんいる。だけど、彼らは周囲からサポートが得られなかったりして、その多くが消えてしまっていたんだ。でも、今は少しずつショウヘイ・オオタニはもちろん、僕なんかが活躍する場が与えられている。そんな風に野球が発展していくのは素晴らしいことだと思う。だから、僕は今回のWBCに出て、その一翼を担いたかったんだ」
もしも、クワンが侍ジャパンの一員となったなら、どれだけの貢献をしてくれただろうか。もちろんルールはルールであり、“タラレバ”を言っても仕方がないのだが、本人の言葉を訊くと、そう思わずにはいられない。
構成●THE DIGEST編集部
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