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プロ野球

【キャンプ展望:ソフトバンク】本気のオフ! 日本では珍しい叩き上げの藤本博史監督は大型戦力を機能させられるか?<SLUGGER>

氏原英明

2023.01.28

現役時代の藤本は通算1000安打に達してもいなければ、オールスターへの出場経験もない。確固たる実績を持つ他球団の監督とは一線を画する存在だ。写真:産経新聞社

現役時代の藤本は通算1000安打に達してもいなければ、オールスターへの出場経験もない。確固たる実績を持つ他球団の監督とは一線を画する存在だ。写真:産経新聞社

 ソフトバンクが本気を出している。

 このオフは総額80億円とも言われる超大型補強を敢行。ロッテから守護神候補のオスナを獲得したかと思うと、日本ハムからFAとなった近藤健介の争奪戦も制し、とどめとばかりにレンジャースを退団した有原航平との契約にも成功している。

 17~20年の日本シリーズ4連覇に主力として貢献した松田宣浩やデスパイネ、グラシアルらベテランに別れを告げ、この2年遠ざかっているペナントレース制覇へ向けて戦力を整えた。

 この大補強を背景に、就任2年目を迎える藤本博史監督も俄然注目を浴びている。戦力の充実はファンに期待を抱かせる一方、監督にしてみれば大きな爆弾を抱えたようなものだ。

 大型戦力だからこそ、それをどう活用して勝利に結びつけるのか、手腕への評価は今まで以上に厳しくなる。失敗すれば、言い逃れはできない状況でもあるというわけだ。
 
 もっとも、”世界制覇”を狙うソフトバンクにとって、三軍の指揮官まで経験した藤本監督が優勝することの意義は極めて大きい。

 日本においては、指導者との実績が買われて監督が登用されるケースは多くない。とにかく現役時代の知名度が物を言い、「チームの看板」という要素が強いのだ。

 だが、ソフトバンクはこれまでも、しっかりと指導者を育てる路線を歩んできた。11年と14年に日本一となった秋山幸二監督は選手としてもかなりの実績を誇るが、きちんと二軍監督を経て一軍監督に就任している。

 藤本監督の”下積み”は、他の指導者とは比べ物にならない。

 現役時代は勝負強い打撃が持ち味の中距離打者として活躍し、1998年に14年の現役生活に幕を引いた。その後、解説者の傍ら飲食店を経営するなど、引退即、指導者の道へ進んだわけではなかった。コーチになったのは11年(二軍打撃コーチ)が初めてで、そこからホークスの一軍から三軍まで、たくさんの部門を担当した。

 二軍コーチ時代には柳田悠岐や牧原大成を指導し、一軍では17、18年に打撃コーチとして日本一メンバーに加わっている。19年からは三軍監督に転身し、21年には二軍監督、そして22年から一軍監督へと”昇格”したのだった。
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