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「僕は信じた」――侍Jを率いる栗山英樹監督が“懐疑論”もあったヌートバーを選んだ理由「あの若さで学び続ける姿勢を持ち、形にしてくれる」

THE DIGEST編集部

2023.01.26

熟考の末に国内外から30人を厳選した栗山監督。そのなかで日系人プレーヤーであるヌートバーを選んだ理由とは?写真:鈴木颯太朗

「世界一、それだけ!」

 1月26日、来たる3月8日に幕が開ける「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC」の日本代表メンバー30名が正式に発表された。緊張の面持ちで壇上に上がった栗山英樹監督は、力強く冒頭の言葉を言い切った。

 3大会ぶりの世界制覇に向けた陣容は、錚々たる顔ぶれとなった。大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)やダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)、鈴木誠也(シカゴ・カブス)といったメジャーリーガー組に加え、村上宗隆(ヤクルト)、佐々木朗希(ロッテ)、山本由伸(オリックス)などNPBで出色のパフォーマンスを披露した若武者も選出。「それぞれの場所で発揮してもらいたい」という栗山監督の意図に沿った多士済々の陣容と言える。

 過去4大会と比較しても平均年齢は最年少(26.3歳)の今回の侍ジャパンにあって、"異彩"を放つのが、ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)だ。日本人の母親を持つ彼は、日本代表史上では初となる日系人プレーヤーとなった。

 カーディナルスのレギュラーでもあるヌートバー。もっとも、21年6月にメジャーデビューは飾っているが、実働的に言えば、昨季が"ルーキーイヤー"だ。主な打撃成績も打率.228、14本塁打、40打点と、NPBで選外となった選手と比較して「乏しい」という声も上がっている。
 
「本当は各ポジションに一人ずつ増やしたいぐらいです」とした選考の難しさを説いたなかで栗山監督が、外野手4枠のうち1枠をヌートバーに与えた理由はいかなるものだったのか。61歳の指揮官は「僕はもう(選んだ理由は)分かっていただいていると信じている」と前置きしたうえで、こう続けた。

「肩の強さであったり、がむしゃらさであったり、1球1球に一生懸命にプレーし続ける姿であったり、それからあの若さで学び続ける姿勢を持って色んなものを吸収して、色んなことを形にしてくれる。それを僕は信じた。皆さんが思ってくれるような活躍をしてくれると僕自身も信じています」

 ヌートバーの日本代表参戦については、一部で「この成績でどうして侍ジャパンに選ばれたのか」という懐疑論もあった。そうした"逆風"をはねのけるように「僕は彼を信じた」と断言した栗山監督。25歳の"サムライ"が指揮官の熱き期待に応えられるかは実に興味深いところだ。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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